2013年06月23日

オクウスギタンポポ発芽

 今月初めに種まきしたオクウスギタンポポのプランターに芽が出ているのを見つけました。

 梅雨の中休みで暑い日々が続いていたのですが、この数日は雨が降って気温が下がった所為でしょうか。
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 他の植物の芽かも知れませんので、もうしばらく様子を見てみます。
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2013年06月04日

緋紅蒲公英原産地の気候

 ネットで緋紅蒲公英Taraxacum pseudoroseum)の画像を検索していたところ、ロシアのwww.plantarium.ruというサイトで緋紅蒲公英の写真とその撮影場所の情報が載っていました。

 緋紅蒲公英については中央アジアのカザフスタン、キルギスタン、中国の新疆ウイグル自治区などの高山地帯の草原という情報はあったものの、実際にどのような気候条件の場所なのかがわかりませんでした。

 このサイトではカザフスタンの旧首都であるアルマトイ(アルマ・アタ)の100キロほど東のASY高原、標高2300m(2010年6/23)という撮影時の情報が載っていました。

同じサイトではASY高原の風景も見ることができます。広々とした高原の牧草地でした。

 Wikipediaによるとアルマトイの気候は
気候は大陸性で、夏は暑く冬は寒い。南方を4000m級の天山山脈が占めるため、山岳気候の影響も強く受ける。1月の平均気温は-4.7度とそれほど低くはないが、最低気温はしばしば-10度を下回り、降雪量も多くなる。7月の平均気温は23.8度と高く、日中は年間平均で30度を超す真夏日となることが36日もあり、時に35度を超すことも珍しくないが、朝晩は涼しく湿気も少ないので蒸し暑さとは無縁である。また市内でも北から南にかけて標高600m - 1200mに市街地が広がっているため、気温、気候などに違いがある。沖積層土壌と豊富な雨量のため、多くの植物が生い茂っている


 緋紅蒲公英が開花していた時期、7月のアルマトイの平均気温が23.6℃、最高気温30℃、最低気温18℃となっています。

 緋紅蒲公英が撮影された場所は標高2300mのASY高原で、アルマトイ中心部との高度差はおよそ1500mになりますので、10℃程度は低いと考えられます。そうすると日本の4月頃の気候に近いのでしょうか。

 試しに温量指数を計算してみると、アルマトイは89で東北地方くらいでしょうか。(仙台市で95.5、岩手県盛岡市で82.8)緋紅蒲公英の咲いていたASY高原は32ぐらい(高度による気温差を9℃とする)になって、北海道の根室より寒いことになります。

 温量指数が日本以外にも適用できるかどうかはわかりませんが。

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(緋紅蒲公英:日本国内4月中旬)

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2013年05月31日

季節外れ、緋紅蒲公英に蕾が出た

 先日、タンポポを春以外にも開花させる要因が寒さにあるのではないかと考えて、緋紅蒲公英とキビシロタンポポを冷蔵庫に数日間保存して、その寒冷刺激で花芽(蕾)ができるかどうかの実験を始めました。

 タンポポは春になって日照時間が長くなることで蕾をつける長日性植物なのか、それとも桜のように一定期間低温にさらされることで蕾ができる(春化現象:バーナリゼーション)のかを確かめるためです。

 それで改めて冷蔵庫に入れないで生育している対照のタンポポの状態を観察してみたら、何と!緋紅蒲公英の中央部に蕾らしいものが見えました。
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(冷蔵処理をしていない緋紅31号の鉢、中央部に蕾が見えます。)

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ルーペで拡大してみると確かに蕾のようです。直径は5mmくらい
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2013年05月29日

タンポポは長日性植物か

 初春に発芽した緋紅蒲公英が今シーズンは花を咲かせませんでした。

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 5月中旬には葉もかなり生長していたのですが、花芽(蕾)はできませんでした。
 せっかくここまで生長したのだから、なんとか花を咲かせる方法は無いでしょうか。ここでハタと考え込みました。

 タンポポの花芽(蕾)ができる条件は何だろう?
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(緋紅蒲公英の蕾:2010年4月)

 ネットで検索したところ在来種タンポポは長日性だという記述もありました。日照時間が長くなる初春に花を咲かせる在来種は確かに長日性植物のように思えます。
Wikipedia:光周性
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(開花した緋紅蒲公英:2010年4月)

 ちなみに日照時間に関係なく年中花を咲かせている外来種タンポポは中性植物とされています。
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2013年05月21日

初夏の緋紅蒲公英

 初夏を迎えて、ピンク色のタンポポ、緋紅蒲公英Taraxacum pseudoroseum)の葉がぐんぐん伸びてきました。昨年春に蒔いた種が全滅したので、改めて秋に蒔いた種から発芽したものです。

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(一番生長した株)

 赤い花を咲かせるタンポポだけに葉の中心の葉脈も赤っぽく見えます。

 今シーズンに可愛いピンクの花を見たかったのですが、春までに十分な栄養を貯め込むことができなかったようです。来年春か、今年の秋にでも花を咲かせてくれたらいいなと思っています。

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 合計3鉢に6株ほど生長しています。中央アジア原産で、日本のタンポポよりセイヨウタンポポにより近いのではないかと思います。在来種に比べて葉の色が濃く、肉厚な感じです。

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右下と左上が緋紅蒲公英、右上が在来種のカンサイタンポポ(T.japonicum)の葉です。色合いの違いがわかるでしょうか?

 左下は同じく在来種で花弁がクリーム色のキビシロタンポポ(T.hideoi)です。こちらはさらに薄い黄緑色ですね。

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2013年05月11日

安来市伯太町フィールド調査

 安来市内を伯太川沿いに遡り、さらに県境を超えて鳥取県日南町までを調査しました。
 今回のテーマは伯太川沿いで黄花の在来種タンポポを探すことでした。現在までの自分の調査ではキビシロとシロバナばかりで、在来種の黄花を見つけたことがありません。タンポポ調査西日本2010では、この地域で数カ所確認されているのですが。

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(赤い点が調査地点、黄色が走行コース)

 最初に一番北側の安来市清水寺付近、いままでよりも広い範囲でキビシロタンポポ(Taraxacum hideoi)が自生しているのを確認できました。
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 開花のシーズンを過ぎているので、ほとんど綿帽子で花がなかなか見つかりません。
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種子(痩果)の色は黒褐色、総苞(ガクに見える部分)外片先端の角状突起は小型


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2013年05月10日

島根半島西側フィールド調査

 朝から雨が降っているにも関わらず、島根半島西側のフィールド調査へ。天気のいい日に都合良く休めないのが勤め人のツラいところです。
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 5月に入って、在来種タンポポは花がほとんど終わっていますし、この天気なので探すのに苦労するかなと思ったのですが、花が終わった後は綿毛の種子を飛ばすために花茎をグーンと高くのばしているので目立って、意外に楽でした。

 最初は一畑薬師の近くの山中の集落
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(出雲市小境町北垣)
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ちょっと見た感じではそんなに総苞(ガクに見える部分)の外側の角状突起は目立たなかったのですが、撮った写真で拡大してみると大きめに見えます。
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2013年05月06日

タンポポ白花形質の遺伝様式についての仮説

 シロバナタンポポカンサイタンポポの花粉がケイリンシロタンポポに受粉してできた雑種なのですが、白い花のケイリンシロタンポポと黄色い花のカンサイタンポポの雑種であるシロバナタンポポが白い花になるということは、白い花の形質は優性遺伝すると考えられます。

 タンポポの染色体は8本が基本で、有性生殖をする2倍体のカンサイタンポポは2n=2X=16本の染色体を持っています。
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(2倍体のカントウタンポポ染色体:「日本産2倍体タンポポの核型分析」山口聡、染色体U-45-44(1986)より引用。)


 以上の事実に基づき、
白花系タンポポの遺伝様式とメカニズムについて考察してみました。


 基本になる1組8本のうちのどれか1本の染色体に花弁の発色に関わる遺伝子が乗っているわけですから、カンサイタンポポはそれを2組もっていることになります。白色形質は優勢遺伝するという仮定に基づけば、カンサイタンポポは2組とも黄色形質の遺伝子です。減数分裂で花粉には黄色形質の1組が存在します。

 卵細胞を提供する母親であるケイリンシロタンポポは4倍体(2n=4X=32)で32本の染色体があり、発色に関わる染色体は4組持っていると考えられます。そのうちの少なくとも1本白色にする遺伝子を持っていると考えられるわけです。

 タンポポの花色が白色になるメカニズムについては未だ明らかにされてはいないのですが、ここでは花弁の黄色色素を分解するカロチノイド分解酵素(CCD)によって白くなるという仮説に基づいて、染色体のどれか一本に白色にする遺伝子(=CCDを合成する遺伝子)があると仮定しております。

(4組のすべてが白色という可能性もありますが、後述する理由により多くても3組です)

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2倍体タンポポの核型分析に関する文献

日本産2倍体タンポポの核型分析

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(図1、カントウタンポポ Taraxacum platyculpum の染色体)

 日本産の2倍体タンポポの核型を比較し、基本染色体8組のうち2組が二次狭窄を明らかに保持していたが、オキタンポポでは今のところ1組しか認められなかった。
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(図3、モウコタンポポ節の2倍体タンポポの核型模式図)

日本産2倍体タンポポの核型分析」山口聡、染色体U-45-44(1986)より図版と要旨を引用。



日本におけるTaraxacum(キク科)の在来低地2倍体種の染色体研究

北村(1957)により、T. elatum, T. hondoense, T. longeappendiculatum, T. japonicum, T, maruyamanum and T. platycarpumに分類されている低地性2倍体タンポポ属が細胞学的に研究された。

6つの形の核型は次のようであった:T. platycarpum, 2n=16=2M+10m+4mcs; T. elatum, 2n=16=12m+4mcs: T. hondoense, 2n=16=2M+10m+4mcs; T. longeappendiculatum, 2n=16=12m+4mcs; T. japonicum, 2n=16=12m+4mcs; T. maruyamanum, 2n=16=14m+2mcs.

T. elatum, T. hondoense, T. longeappendiculatum, T. japonicum and T. platycarpumの核型は2n=16=12(M+m)+4mcsの表せる同様の形式であった。対照的に、T. maruyamanumのそれは2n=16=14m+2mcsであった。

この核型データは日本の低地性在来2倍体タンポポ属をT. platycarpum and T. maruyamanum. の2種とした芹沢(1986,1995)の分類学的研究を支持する。


佐藤杏子:Chromosome Studies of Native Lowland Diploid Species of Taraxacum (Asteraceae) in Japan
CYTOLOGIA Vol. 72 (2007) No. 3 P 309-317 の要旨より引用

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2013年05月04日

長寿のカンサイタンポポ

 庭で育てているカンサイタンポポが今年も花を咲かせました。
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 元は7年前の2006年春に松江市内の自生地から一株採集してきたものなのですが、まだ元気です。多年生草本とはいえ、寿命はどれくらいなのでしょう?

 ネットで検索したところでは、在来種は「寿命が長く全体の1割が10年後でも生きているという」という記事がありました。残念ながらその根拠となる文献などは見つかりませんでした。

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(採集当時:2006年4月)

採集当時はこんなに元気でした。肥料を与えないで放置していた3年ほどは花を咲かせない時期もありましたが、液肥を与え始めたこの数年は一輪づつですが開花しています。
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2013年05月01日

伯太川流域キビシロ調査

 雨模様の曇天というタンポポ調査には不向きな天候でしたが、予定通り安来市伯太川流域の調査に出かけました。
 島根県のキビシロタンポポは安来市の限られた場所でしか見つかっていません。今回は新しい自生地の発見しようとしたのですが、この天候のため、主に従来の自生地の確認となりました。
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キビシロタンポポは総苞(ガクのような部分)の外片が直立してシロバナタンポポのように反り返らず、先端の角状突起も無いか、小型です。花弁もシロバナのように純白でなく、うっすらと黄色で、裏面が赤紫色がかっていることもあります。
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葉や茎もシロバナほど長く伸びず全体に小ぶりです。続きを読む
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クシバタンポポの葉

 ヤマザトタンポポの中に葉の切れ込みの深いタイプがあり、クシバタンポポと見間違うものがあります。

 典型的なものは並べてみれば違いがわかるのですが、単体で見ると悩むものがあります。下の画像は、左がヤマザトタンポポ、右がクシバタンポポ。たまたますぐ隣に咲いているものを見付けました。
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(島根県広瀬町祖父谷:2010年4月)


あらためてクシバタンポポの葉の形をまとめてみます。
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島根県大田市三瓶:2003年4月
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鳥取県日南町粟谷:2007年4月
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島根県広瀬町東比田:2010年4月続きを読む
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2013年04月30日

ヤマザトタンポポの葉

 今年の春はヤマザトタンポポを集中的に観察、採集しました。調べれば調べるほど、ヤマザトタンポポの形態はバリエーションに富んでいます。中にはクシバタンポポと見間違うようなタイプも有り、クシバでもヤマザトでもないようなものにも出会います。
 
 ヤマザトタンポポの標準的な葉は淡緑色で切れ込みは中くらいです。
 新日本植物誌・顕花編:至文堂によると、「葉は斜上し、線状披針形、長さ30cm、幅4-5cm内外に達し、鈍頭、羽状中裂する。」とあります。
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(松江市西忌部町:2007年4月)
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(雲南市大東町:2007年4月)

 実際には典型的なものばかりではなく、例えばこのヤマザトは、花を見ればヤマザトと思えますが、葉の切れ込みはクシバタンポポと行っても良いぐらい切れ込みが深くなっています。
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淡黄色の花弁はヤマザトに見えます。(松江市東忌部町大谷)
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2013年04月29日

茶臼山のヤマザトタンポポ

 松江市大庭町の茶臼山の南側にヤマザトタンポポの自生地が有ります。
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 南側がよく開けており、日当りは良い場所です。茶臼山は「神名樋野」という名で出雲国風土記にも登場し、周辺は古墳が数多く残されており、現在も古代のの面影を残しています。風土記の時代からヤマザトタンポポが咲いていたのかもしれません。
 しかし残念なことに出雲国風土記の植物にはタンポポを意味する「ふちな」は登場してきません。薬用とか有用な植物ではなかったからでしょうか。

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2013年04月28日

宍道湖南岸フィールド調査

 先週に引き続き、黄花倍数体タンポポであるヤマザトタンポポTaraxacum arakii)の調査に歩いています。

 東出雲町意東(4/27)
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 中海側から中意東、高庭、上意東、星上山へ南下するコース。

 中意東では、例年の場所にヤマザトの花が見当たらず、全滅かと心配しましたが、すでに花期が終っていただけで、何株かを確認できました。
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 高庭では広域農道との交差点周辺に群落が有るのですが、ちょうど先週あたりに草刈りがされたようで、見通しの良くなった道路脇に数株の花が有りました。


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2013年04月27日

キビシロタンポポ開花

 種から育てたキビシロタンポポTaraxacum hideoi)が開花しました。

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 安来市日次(ひなみ)から採集してきた種を去年の春に撒いたのですが、春に数株発芽したものは夏の暑さで全滅。秋になって残りの種が一斉に発芽して越冬した株が花を咲かせました。
 本来キビシロの葉はもう少し切れ込みが深いのですが、まだ株が小さいため葉が小松菜のようです。

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 今朝、蕾の先端に花びらが見えていました(左)、開花した花弁はわずかに黄色がかっていて、裏面はほんのりピンク色です(右)。総苞(ガクのような部分)はほぼ密着し総苞外片の辺縁部も少し紫色です。
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2013年04月22日

島根半島東部フィールド調査

 好天に恵まれ、島根半島東部のタンポポフィールド調査に出かけました。どの地点でもヤマザトタンポポは満開状態で見つけやすく、良い調査日和でした。
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(赤いピンが調査地点、黄色い線が調査経路)

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2013年04月15日

キバナシロタンポポはケイリンタンポポの一種なのか?

 シロバナタンポポTaraxacum albidum)集団の中に時折出現するキバナシロタンポポは、シロバナタンポポが何らかの原因で黄色い花をつけた変種という見方が有ります。新潟大学の森田竜義先生が九州を中心とした地域のシロバナタンポポを採集して、アイソザイムによる分析をしたところ、同時に採集された黄花のシロバナタンポポは白花のものと同一なクローンだったとしています。(文部科学省科学研究費補助金研究成果報告書「エゾタンポポにおける無融合生殖複合体の構造と形成過程」より)

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 しかしその一方で、キバナシロタンポポが集団で自生しているところが高知や九州、松江などで確認されており、キバナシロタンポポはシロバナタンポポとは別種ではないかという考え方も出てきています。
 前出の森田龍義先生も、黄花のシロバナタンポポ集団はケイリンシロタンポポT.coreanum)かもしれないとの考え方を表明しておられます。

 ケイリンシロタンポポは韓国を中心として分布する白花のタンポポで、日本にも北九州を中心として白花のクローン(ツクシシロタンポポ)がありますが、森田先生によればケイリンシロタンポポには30以上のクローンがあり黄色いクローンも多いとのことです。


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2013年04月14日

出雲大社フィールド調査

 出雲大社付近の島根半島西部のタンポポ調査に出かけました。出雲大社付近ではシロバナを見た記憶が無かったので重点的にシロバナを探したのですが、今回は出雲大社東側の駐車場と国道の間の緑地で見つけることができました。
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総苞外片が長く、角状突起が大きくてケイリンシロタンポポを疑う形なので、標本を2株採集。あとで染色体を調べます
misen1304140005.jpg続きを読む
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2013年04月10日

プロイディアナライザー(倍数性判定機)

プロイディアナライザー(ploidy analyzer)

植物などの倍数性、異数性を測定するフローサイトメーター(flowcytometer)

http://www.chiyoda-s.jp/products/flowcytemeter.html

生の葉や痩果を標本としてタンポポの倍数性を測定できる。

 2倍体のタンポポと3倍体以上のタンポポを区別するには、花粉の大きさを調べ、大きさが均一なら2倍体、不揃いなら3倍体以上の倍数体という簡便な方法がある。しかし、3倍体以上のタンポポが4倍体なのか、5倍体なのかを調べるにはタンポポの根端細胞の染色体の数を調べるしか方法が無かった。


生の葉をカミソリなどで細かく刻み、細胞を壊して核を露出させる。DAPIで染色し、核に含まれるDNAの量を蛍光強度から算出する。

日本産タンポポと、中国系のタカサゴタンポポでは基本となる核DNA量が異なる。そのことを利用して、タンポポの起源を推定できる。
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