2006年05月04日

自家不和合性(不親和性)


※ 他の株の花粉が受粉しないと種子がつくれない
 カンサイタンポポをはじめとする2倍体の在来種はこういう性質を持っているため、自分の花粉では受粉できない。したがって、種子をつくるためには近くに同種の株があり、そこから花粉を運ぶ昆虫が存在することが必要。
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盗賊種

 3倍体セイヨウタンポポの花粉が2倍体の在来種タンポポにかかると、3倍体雑種の種子が生じる。

このように他種から遺伝子を奪う盗人のような種を盗賊種(compilospecies)とよぶ(Harden&DeWet,1963)。

★参考文献:雑草の自然史、北海道大学図書刊行会。第6章世界に分布を広げた盗賊種・森田竜義・新潟大学教育学部


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2006年05月01日

オキタンポポを守れ!って...

今朝の地元新聞の記事によると、島根県隠岐の島の自然保護団体が、オキタンポポを守るためにセイヨウタンポポを駆除する活動を行ったそうだ。帰化種のセイヨウタンポポとの競争に負けて、隠岐の島固有種のオキタンポポが危機に瀕しているからだそうだ。

 確かにセイヨウタンポポは繁殖力が強く、数の上で在来種を圧倒しているので、あたかも在来種が競争に負けて隅に追いやられているように見えるのだが。。。。
 
 条件の悪い環境でも花を咲かせるセイヨウタンポポに比べて、里山など昔からの自然環境の残されているところでないと生育できない在来種は不利には違いない。

 だからといって、セイヨウタンポポを駆除したらオキタンポポが守れるというのはどうなのかと思う。

 むしろ、オキタンポポを含む在来種が生育できる土地や環境を守ることが、大切なのだと思うのだが。

と言う記事を書いた後で、こういう資料を見つけました
帰化種タンポポは要注意外来生物 環境省ホームページ「外来生物法」
 外来タンポポ種群は同法で要注意外来生物に指定されていて、「既に広く野生化しているが、希少種等との競合・駆逐等のおそれがある地域については、積極的な防除または分布拡大の抑制策の検討が望まれる。」
のだそうです


 決して無意味な作業ではないのです。失礼致しました。(2006/5/6追記)
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2003年06月12日

在来種タンポポと帰化種タンポポの交雑

 在来種と帰化種タンポポの交雑に関する研究の要約をネットで見つけました。

植物研究雑誌 Vol.72 No.1 要約

東海地方西部における在来タンポポと帰化タンポポの交雑 (1) ニホンタンポポとセイヨウタンポポの雑種の出現頻度と形態的特徴

 愛知県におけるニホンタンポポTaraxacum platycarpum とセイヨウタンポポT. officinale の自然雑種の頻度と形態学的特徴を調べた.セイヨウタンポポとされる90%以上の植物体はニホンタンポポから由来したグルタミン酸ーオキザロ酢酸アミノ転移酵素(GOT)の対立遺伝子b又はcを持っていた.これらの雑種と判断される植物は外総包片辺縁の毛の数,外総包片の突起長及び痩果の大きさにおいて,ニホンタンポポとセイヨウタンポポの中間的であった.(愛知教育大学生物学教室)
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渡邊幹男,丸山由加理,芹沢俊介:(72: 352 - 356)

東海地方西部における在来タンポポと帰化タンポポの交雑 (2) ニホンタンポポとアカミタンポポの雑種の出現頻度と形態的特徴

 愛知県におけるニホンタンポポTaraxacum platycarpum とアカミタンポポT.laevigatum の自然雑種の頻度と形態学的特徴を調べた.セイヨウタンポポとは対照的に,アカミタンポポT.laevigatum ではニホンタンポポT. platycarpum と共通のグルタミン酸ーオキザロ酢酸アミノ転移酵素(GOT)の対立遺伝子b又はcをほとんど持っていなかった.対立遺伝子b又はcを持つ植物は外総包片辺縁の毛の数,外総包片の突起長及び痩果の大きさにおいて,ニホンタンポポとアカミタンポポの中間的であり,雑種であることを示唆していた.(愛知教育大学生物学教室)
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2003年04月14日

倍数体エゾタンポポのクローン多様性

1993(平成5)年植物学雑誌記事のの要約です。


Akhter, S., Morita, T. & Yoshida, Y. 1993. Clonal diversity in the agamospermous polyploids of Taraxacum hondoense in northern Honshu, Japan. J. Pl. Res. 106: 167-179. [Shamima Akhter・森田竜義・吉田吉男. 1993. 無融合生殖を行なう倍数体エゾタンポポの北部本州におけるクローン多様性. 植物学雑誌 106: 167-179.]


 東北地方のエゾタンポポ Taraxacum hondoense Nakai ex H. Koidz. には,調査したほぼすべての集団でみられた3倍体 (2n=24),4割ほどの集団で見られた4倍体 (2n=24),ごく少数の5倍体 (2n=24) があった。アイソザイムの調査では6フォスフォグルコン酸脱水素酵素 (6PGDH) に関して12のフェノタイプが見られたが,調査した約半数の集団が複数のフェノタイプを含んでいた。無融合生殖であるエゾタンポポのクローンの多様性は,3倍体と2倍体との交配によって新たな3倍体,4倍体を生じるプロセスを経て生じた可能性が高いと考えられる。

(染色体数)エゾタンポポ 2n=24 (Yanaizu; Aburai, Adachi-machi; Shidahama),2n=32(Yanaizu; Aburai, Adachi-machi; Shidahama)


※本文中の 4倍体(2n=24)、5倍体(2n=24)という記述は2n=32,2n=40の誤りではないかと思われます。ブログ主の写し間違いか、原文献にそう記述されているのか不明です。判明次第訂正致します。
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1999年02月13日

北斎漫画に描かれたタンポポ

 帰化種のタンポポは明治初期に国内に入ったとされています。それ以前に帰化種が侵入していたと言う可能性があるかもしれないと思い、近代の絵画資料を探してみました。
 葛飾北斎が絵手本として文化11年(1814年)に発行したスケッチ集「北斎漫画 初編」にタンポポの絵を見つけました。画像をそのまま転載すると著作権やら版権やら微妙な問題が生じますので私の拙い模写です。

hokusai_mosya.jpg

原本では北斎の鋭い観察眼で葉の形状や総苞の形が描かれています。当時の江戸付近に咲いていたカントウタンポポでしょうか?
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