シロバナタンポポ(Taraxacum albidum)と
ケイリンシロタンポポ(T.coreanum)について調べています。
元々5倍体のシロバナタンポポは4倍体のケイリンシロタンポポと2倍体の
カンサイタンポポ(T.japonicum)の交雑によって生まれた雑種と考えられ、シロバナタンポポの40本の染色体のうち32本はケイリンシロタンポポ由来ということになるので、両者の形態は良く似たものになっていて、その見分けが難しくなっています。
新潟大学の森田教授によると、
ケイリンシロタンポポの総苞外片は長く総苞の3/2から4/3ぐらいに達する。また外片の先端にある
角状突起(小角)も比較的大型なものが多いとのことです。

そこで、昨年の暮れから松江市内各地のシロバナタンポポの頭花を採集しては、頭花の形を計測していました。秋咲きのシロバナタンポポを調べていると、外片の長さはほとんど1/2程度しかなく、とてもケイリンシロタンポポと見なせるものがありませんでした。ところが春になって咲いているものを調べると外片の長さが長いものが結構見つかりました。

グラフは横軸が角状突起の長さ、縦軸が総苞外片と総苞の長さの比率(外片の長さ/総苞の長さ)です。赤色の点が春、青色の点が秋です。
昨年の秋と今年の春ともに、松江市内のシロバナタンポポ自生地数カ所の同じ地点から採集しているのです。それなのに
春に咲いたものは秋に咲いたものよりも総苞外片が長い傾向があるようです。
ケイリンシロタンポポは外片/総苞の比率が2/3(0.67)以上が目安となりますが、見分け方を考える上でシロバナタンポポの総苞外片の長さの季節的な変動も考えてみる必要がありそうです。