2013年04月15日

キバナシロタンポポはケイリンタンポポの一種なのか?

 シロバナタンポポTaraxacum albidum)集団の中に時折出現するキバナシロタンポポは、シロバナタンポポが何らかの原因で黄色い花をつけた変種という見方が有ります。新潟大学の森田竜義先生が九州を中心とした地域のシロバナタンポポを採集して、アイソザイムによる分析をしたところ、同時に採集された黄花のシロバナタンポポは白花のものと同一なクローンだったとしています。(文部科学省科学研究費補助金研究成果報告書「エゾタンポポにおける無融合生殖複合体の構造と形成過程」より)

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 しかしその一方で、キバナシロタンポポが集団で自生しているところが高知や九州、松江などで確認されており、キバナシロタンポポはシロバナタンポポとは別種ではないかという考え方も出てきています。
 前出の森田龍義先生も、黄花のシロバナタンポポ集団はケイリンシロタンポポT.coreanum)かもしれないとの考え方を表明しておられます。

 ケイリンシロタンポポは韓国を中心として分布する白花のタンポポで、日本にも北九州を中心として白花のクローン(ツクシシロタンポポ)がありますが、森田先生によればケイリンシロタンポポには30以上のクローンがあり黄色いクローンも多いとのことです。


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2013年04月10日

プロイディアナライザー(倍数性判定機)

プロイディアナライザー(ploidy analyzer)

植物などの倍数性、異数性を測定するフローサイトメーター(flowcytometer)

http://www.chiyoda-s.jp/products/flowcytemeter.html

生の葉や痩果を標本としてタンポポの倍数性を測定できる。

 2倍体のタンポポと3倍体以上のタンポポを区別するには、花粉の大きさを調べ、大きさが均一なら2倍体、不揃いなら3倍体以上の倍数体という簡便な方法がある。しかし、3倍体以上のタンポポが4倍体なのか、5倍体なのかを調べるにはタンポポの根端細胞の染色体の数を調べるしか方法が無かった。


生の葉をカミソリなどで細かく刻み、細胞を壊して核を露出させる。DAPIで染色し、核に含まれるDNAの量を蛍光強度から算出する。

日本産タンポポと、中国系のタカサゴタンポポでは基本となる核DNA量が異なる。そのことを利用して、タンポポの起源を推定できる。
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ケイリンシロタンポポを求めて(江の川流域調査)

 雨模様のあいにくの天候でしたが、江の川中流域へシロバナタンポポTaraxacum albidum)の調査に出かけました。

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(江の川にかかる三江線の鉄橋:島根県美郷町粕淵)

 シロバナタンポポは新潟大学の森田教授の研究で、朝鮮半島から北九州にかけて分布している4倍体のケイリンシロタンポポT.coreanum)に2倍体のカンサイタンポポT.japonicum)の花粉がついて生まれた雑種5倍体であることがわかっています。

詳細は当ブログシロバナタンポポのルーツを参照ください

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(シロバナタンポポ:美郷町亀村カヌーの里)

 森田教授によれば、シロバナタンポポが誕生したのはカンサイタンポポとケイリンシロタンポポの分布域の重なる地域、すなわち岡山県から広島県の北部にひろがる吉備高原で両者が出会って交雑したのではないかとのことです。

 森田教授の調査(1997)では、九州の北部を中心にケイリンシロタンポポが分布しており、島根県の江津市や中国地方の一部(岡山県哲西町、岡山県川上町神谷)でもケイリンシロタンポポが確認されています。

 北九州や吉備高原から離れた島根県江津市にケイリンシロタンポポが見つかった理由として、吉備高原から発して中国山地を貫いて江津市で日本海に注ぐ江の川によって運ばれたのかもしれないと私は考えました。

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2013年04月04日

島根県東部のキビシロタンポポ分布と伯太川水系(仮説)

 キビシロタンポポ(Taraxacum hideoi)はシロバナタンポポ(T.albidum)によく似ていますが、花弁がわずかに薄黄色を帯び、全体に小ぶりなのが特徴で岡山県を中心として分布しています。

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 島根県内では、西日本タンポポ調査2010調査で島根県内に分布していることが報告されました。以前よりタンポポ研究者の間では、岡山に隣接した島根と鳥取にも分布していてもおかしくはないとされていたのですが、この調査で山陰両県にも自生していることが確認されました。

 当ブログでは、2007年春に安来市伯太町の県境近くでキビシロタンポポらしきものを報告していました。その後タンポポ調査で確認された場所以外にも自生地を見つけましたが、その地域はかなり限定的で、なおかつ点在しています。
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(安来市内のキビシロタンポポ自生地点と伯太川)


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2012年04月21日

クシバタンポポとヤマザトタンポポの頭花

 クシバタンポポTaraxacum pectinatum)とヤマザトタンポポT.arakii)はどちらも黄花の在来種で、森田の分類では同種異名とされていました。また研究者によってはケンサキタンポポとヤマザトタンポポ、キビシロタンポポを同種とすることもあって、区別が難しいタンポポです。

 今回、同じ日に比較的近い場所で採集したクシバタンポポとヤマザトタンポポの頭花と花弁を比べてみました。

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左がクシバタンポポ、右がヤマザトタンポポです。
花弁の色はヤマザトがやや淡く、外総苞片に小角突起があります。クシバタンポポは小角突起がほとんど無く、外総苞片の先端はこぶ状にもりあがって、総苞の下半分がこんもりとした感じです。
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2011年05月08日

巨大タンポポ花弁(小花)の大きさ

 松江市内の数カ所で巨大タンポポを見かけるのですが、大きいものは花の直径が7cmに達するものがあります。普通に見かける外来種タンポポの約2倍程度です。

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 左が巨大タンポポ、右が普通の外来種タンポポです。

 このタンポポがなぜ大きいのかについて考えてみました。
 花を構成する一枚一枚の花弁(小花)の数が多いのか、それとも小花自体が大きいのかをまず調べました。
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 上が巨大タンポポの小花、下が普通のタンポポです。続きを読む
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2011年05月03日

白花系タンポポのルーツを考える(妄想)

 5倍体であるシロバナタンポポは4倍体(4x)のケイリンシロタンポポ(ツクシシロタンポポ)を種子親、2倍体(2x)のカンサイタンポポを花粉親として誕生しました。
 さらにケイリンシロタンポポ(4x)自身も中国・台湾系のモウコタンポポ(3x)を種子親、朝鮮半島系の2倍体種(2x)を花粉親として誕生したと推定されています。

シロバナタンポポのルーツの元記事はこちら

 また薄黄色のウスギタンポポ(オクウスギタンポポ、ナンブシロタンポポ)(5x)はキビシロタンポポ(4x)が種子親、日本産2倍体(シナノ?)が花粉親とされています。
 さらに、キビシロタンポポはモウコタンポポ(3x)が種子親で、日本産2倍体(2x)が花粉親と推定されます。

ウスギタンポポのルーツの元記事

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★ご注意★上の起源推定図はタンポポ研究者の文献などを元にしていますが、ブログ主が勝手に妄想して作図したものです。タンポポの分布位置は大雑把な概念です。(特に中国大陸は実際の生息地とは一致していません)。引用、再配布はご遠慮ください。
 また、当初に掲載していた推定図はキビシロの起源に関する原資料を読み違えていたため、修正しております。(2013/5/6追記)

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2011年04月08日

シロバナタンポポ頭花の変異

 シロバナタンポポ(Taraxacum albidum)ケイリンシロタンポポ(T.coreanum)について調べています。
 元々5倍体のシロバナタンポポは4倍体のケイリンシロタンポポと2倍体のカンサイタンポポ(T.japonicum)の交雑によって生まれた雑種と考えられ、シロバナタンポポの40本の染色体のうち32本はケイリンシロタンポポ由来ということになるので、両者の形態は良く似たものになっていて、その見分けが難しくなっています。

 新潟大学の森田教授によると、ケイリンシロタンポポの総苞外片は長く総苞の3/2から4/3ぐらいに達する。また外片の先端にある角状突起(小角)も比較的大型なものが多いとのことです。

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 そこで、昨年の暮れから松江市内各地のシロバナタンポポの頭花を採集しては、頭花の形を計測していました。秋咲きのシロバナタンポポを調べていると、外片の長さはほとんど1/2程度しかなく、とてもケイリンシロタンポポと見なせるものがありませんでした。ところが春になって咲いているものを調べると外片の長さが長いものが結構見つかりました。


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 グラフは横軸が角状突起の長さ、縦軸が総苞外片と総苞の長さの比率(外片の長さ/総苞の長さ)です。赤色の点が春、青色の点が秋です。
 昨年の秋と今年の春ともに、松江市内のシロバナタンポポ自生地数カ所の同じ地点から採集しているのです。それなのに春に咲いたものは秋に咲いたものよりも総苞外片が長い傾向があるようです

 ケイリンシロタンポポは外片/総苞の比率が2/3(0.67)以上が目安となりますが、見分け方を考える上でシロバナタンポポの総苞外片の長さの季節的な変動も考えてみる必要がありそうです。

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2011年03月31日

異形葉(奇形葉)

 「ケイリンシロタンポポ(Taraxacum coreanum)モウコタンポポ(T.mongolicum)には異形葉(奇形葉)がみられる」という話を聞いたので、さっそく近くの公園で探してみました。

 日本大百科全書(小学館) によると、
植物の一つの個体に形や大きさが著しく異なる葉があるとき、その葉を異形葉という。のだそうです。

 松江市南部の出雲国庁跡のシロバナタンポポ群生地には総苞外片が長くてケイリンシロタンポポの特徴を持ったタンポポがあったので、葉をじっくり調べてみました。
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 「異形葉がある場合は通常葉の半長以下,まばらな鋸歯縁かほぼ全縁」ということですが、この葉(黄色円内)がそうでしょうか?
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(六所神社東隣:2011/3/29)

 総苞外片と内片の比率を計測してみると0.73で、約3/4となります。このタンポポが4倍体のケイリンシロタンポポか、5倍体のシロバナタンポポかを調べるため主根を掘り出して染色体の分析をしてみることとしました。(サンプル名を「六所4号」としました)続きを読む
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2011年03月26日

タンポポ調査報告書2010(その2)

 昨年春に実施されたタンポポ調査西日本2010の報告書が昨日、島根県実行委員会から届きましたが、今日は鳥取県立博物館からも送られてきました。県境を越えて鳥取県内で採集したサンプル数件を鳥取県の実行委員会へ送ったので、そちらからも送っていただいたようです。
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 内容は全体の調査報告と、各県個別の報告を合わせて140頁を超え、大変読み応えのあるものです。その中でいくつか気になるタンポポがあります。

 六甲アイランドで発見され、今回の調査でも各地で確認されているロクアイタンポポ(仮称)これについては島根県内でもそれらしいものを見かけているので、あらためてこのブログでも取り上げたいと考えています。
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(ロクアイタンポポ型の外来種:松江市平成町 2010/4/23)

 このあたりでは見つかっていないものの、トウカイタンポポと形態がよく似たオオズタンポポ、九州地方でみられる多倍体のモウコタンポポ、ツクシタンポポなども今後調べてみたいものです。続きを読む
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2011年03月06日

大名の領地替えとタンポポ(タンポポ調査西日本2010の報告書)

 昨年春に実施されたタンポポ調査西日本2010」の報告書が発表されました。

 このブログでもたびたび取り上げてきた松江市北公園のカンサイタンポポと安来市伯太町のキビシロタンポポについても報告されていて、公的?な資料でも島根県内にカンサイタンポポとキビシロタンポポが生育していることが確認されました。

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(北公園のカンサイタンポポ:2007/4/6)
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2010年11月28日

温量指数

 タンポポの研究文献を調べていると「温量指数」という言葉が登場し、「シロバナタンポポは温量指数100度線以南を好んで分布する」といった記述がみられます

 暖かさの指数(あたたかさのしすう)および寒さの指数(さむさのしすう)とは、植生の変化と気温との相関関係を表すための指標である。あわせて温量指数とも呼ばれる。生態学者の吉良竜夫が提唱した。

概要
 一般的に、植物の生育には月平均気温で摂氏5度以上が必要とされる。このことから、温帯における植生の分布には、それより高温になる期間とその温度の高さがどの程度になるかが大きく影響すると考えられるので、それを定量化することを試みたものである。

 具体的には、ある地域の各月の平均気温を取り、月平均気温5度を基準として、各月の平均気温の5度との差を累積する。平均気温が5度より高い月の累積が暖かさの指数であり、5度より低い月の累積が寒さの指数である(5度以上と5度以下を相殺するのではなく、別々に累積する)。

(Wikipediaより引用)続きを読む
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2010年11月03日

ウスギタンポポのルーツ

 新潟大学の森田教授の研究によると、中部地方から東北にかけて分布する薄黄色のタンポポ、ウスギタンポポTaraxacum shinaense)は西日本に分布する薄黄色のキビシロタンポポT.hideoi)とシナノタンポポT.platycarpum ssp.hondoense)との交配で生まれた雑種という事が推定されました。
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(キビシロタンポポ:島根県安来市)
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2010年04月21日

謎の黄花(その2)

 島根大学で見つけた謎の黄花もオキタンポポと同じ日に2番目の花が咲きました。
simadai10042115.jpg続きを読む
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2010年04月11日

タンポポの花の色

 タンポポの花の色は基本的に黄色ですが、シロバナタンポポのように白色のものもあります。タンポポの色についてネットの資料を中心に調べてみました。

黄色
 大部分のタンポポ。タンポポの標準色
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(シロバナタンポポと帰化種タンポポ:松江市古曽志町)

白色
 シロバナタンポポTaraxacum Albidum)、ケイリンシロタンポポT.coreanum Nakai)、白花蒲公英(T.leucanthum)(T.albiflos)

薄黄色
 ウスギタンポポT.denudatum )、キビシロタンポポ(T.hideoi)。


(キビシロタンポポ:島根県安来市伯太町)

赤色系(紫色、ピンク色、オレンジ色)
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2010年04月05日

シロバナタンポポが白いのは

 シロバナタンポポTaraxacum albidum)は西日本では珍しいものではなくて、セイヨウタンポポなど黄色い外来種が日本全域に広がる前は、西日本の人たちはタンポポと言えば白い花だと思っていたと、Webやタンポポに関する文献では書いてあります。

 しかし、自分の小学生時代の記憶(昭和40年代の鳥取市)では現在と同様に黄色いタンポポが標準で、白いタンポポはレアものという認識でした。
 外来種タンポポは1904年に牧野富太郎博士が北海道で確認されたのが一番古い記録です。それから半世紀あまりで西日本まで到達していたという事でしょうか。

kososi10040640.jpg

 それはともかく、世界中のタンポポの中では白い種類は少ないようです。中央アジアにある白花蒲公英(bai hua pu gong ying)T.leucanthumケイリンシロタンポポ(朝鮮白蒲公英)T. coreanum Nakai、そして日本のシロバナタンポポ、ウスギタンポポ、キビシロタンポポです。


 このブログ内でたびたび、シロバナタンポポの黄花についてとりあげ、考察してきましたが、そもそも、シロバナタンポポはどうして白いのかという点について調べてみました。
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2010年04月02日

タンポポ属の人為的倍数体

 タンポポの高次倍数体についてネットで論文を検索していたところ、「タンポポ属の人爲的倍数體」という古い論文を見つけました。昭和17年の「遺伝学雑誌」18巻第5号に岡部作一氏が発表したものです。

 それによると、2倍体のカントウタンポポ、トウカイタンポポ、カンサイタンポポ、セイタカタンポポの切断した根にコルヒチン(colchicine)を作用させたカルス(callus)を培養して、人為的に倍数体を作り出したそうです。
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2010年04月01日

4倍体のシロバナタンポポは有るか?

 シロバナタンポポは染色体数が40本の5倍体(5x=40)となっていますが、たんぽぽ党ブログに「一部は4倍体(4x=32)」という記述をしていました(現在は修正済み)。ブログを読んだ方から、4倍体と書いた根拠となる文献があるのですか?と質問を受けました。

 あらためて調べてみると、新潟大学森田教授の研究をベースにした文献は全て5倍体と記載されており、ネットを検索してみても、一部に5倍体と4倍体を併記しているサイトがあるものの、その根拠を示しているものは見つけられませんでした。

 一体何を根拠にそんなことを書いたのか...(汗)
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2010年03月27日

日本産2倍体タンポポの家系図

 日本国内の在来種タンポポのうち、カントウタンポポ、カンサイタンポポなどの2倍体がどのように分化してきたのかを、新潟大学の森田教授が研究で明らかにしています(1998)。
 
 それによると、まずカンサイタンポポが分岐し、その次にオキタンポポ、カントウタンポポ、シナノタンポポのグループが分岐する。その中でオキタンポポは他の2種と分岐しているとのことです。
keitoujyu4.jpg

 このことから、国内にある2倍体タンポポは、分化してから別々に日本にやってきたのではなく、日本列島内で分化していったと考えられます。
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参考にした文献の詳細はこちら↓

東アジアにおけるタンポポ属(Taraxacam)の倍数性種分化の分子系統学的解析新潟大学・教育学部・教授 森田 龍義
★補足★
リンク先の研究報告抄録では「最初にオキタンポポが分岐」と記述されており、当ブログの系統図と異なっております。しかし、ブログ主が国会図書館より取り寄せた研究報告書の本文では
(1)台湾のタカサゴタンポポ3集団は日本産2倍体種ともっとも離れた1つのクレードを形成する。
(2)日本産2倍体種の中ではカンサイタンポポ3集団が最初に分岐する
(3)T.platycarpumの7集団の中では、隠岐のオキタンポポが1つのクレードを形成することが認められたが、カントウタンポポ、トウカイタンポポ、シナノタンポポの間では特にまとまったグループは認められなかった。

と記載されております。本文と抄録で内容が違っているのは謎ですが、当ブログでは本文の記載に沿って作図しました。
(2015/5/24追記)


★ご注意★
このページの系統樹は、上記研究報告などを参考にブログ主が勝手に作図したものです。ブログ主の理解力不足により、森田教授の研究成果とは異なるものになっている可能性もあります。従って上図の転載・再利用はご遠慮ください。
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2010年03月04日

シロバナタンポポの黄色い花は一代限りか?

 このところ黄色いシロバナタンポポ(キバナシロタンポポ)について色々と考えています。

 このブログの以前のページでも何度かネタにしているのですが、シロバナタンポポの黄色い花は一代限りという点について、さらに考えてみました。

 シロバナタンポポの群落の中で見つけた黄色い花や薄黄色の花の個体は、次の年にはその場所に無いことがしばしばです。シロバナタンポポは倍数体(5倍体)なので有性生殖ではなく、花粉を受けずに種子を作る無融合生殖という特殊な殖えかたをします。

 新潟大学の森田龍義教授の研究によれば、調査した30集団、300個体のシロバナタンポポは全て同じ遺伝子型をもつクローンだったそうです。
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