2023年04月05日

タンポポの葉の形いろいろ

 雨模様をついて島根県安来市南部の伯太川流域の調査です。トウカイタンポポが開花しているかと期待して行ったのですが、開花前の蕾を1株見つけたにとどまりました。toukai230405.jpg
トウカイタンポポの特徴的な総苞先端の角状突起はまだ小さめです。

DSC_0758.JPG
ほとんどの株はまだロゼット状に葉を広げている状態です。満開になるのは半月後くらいでしょうか。トウカイタンポポの別名「ヒロハタンポポ」の特徴がよくわかります。
 葉の全体の形は倒状披針形(先端が太く根元が細くなっている)で全縁(切れ込みがない)か浅裂(浅く切れ込む)

他の種類のタンポポと葉の形や色を比較してみましょう


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2023年04月01日

白花蒲公英について

白花蒲公英(baifua pu gong ying) 

分類について色々と以前と変わっているので、整理するためのメモ

baifua_sckech.jpg
*著作権フリーの画像を入手できないため、標本画像や他サイトの写真を参考にスケッチしたもの(c)日本たんぽぽラボ

中国から中央アジアあたりに分布する白い花のタンポポで中国では白花蒲公英
ロシア名はОдуванчик белоцветковый(アドゥバンチク ベロツベコヴィ?:白花タンポポ)とこちらもそのまんまですね。

日本のシロバナタンポポ(Taraxacum albidum)とは別の種。

古い文献ではTaraxacum leucantum(タラクサクム レウカントム)という学名が当てられています。ラテン語の「leucos:白」からの命名でしょうか。最近の文献での学名はT.albifros(アルビフロス:白い花)となっています。

中国植物誌では白花蒲公英の仲間3種を白花蒲公英组 Sect. Leucantha(白花蒲公英節)としています。

白花蒲公英(T.albiflos) 葉の切れ込みがない、冠毛が淡紅色か汚れた白色、花は白色
粉緑蒲公英(T.dealbatum) 葉の切れ込みがある、冠毛は白色、角状突起がない。花は白または淡黄色
红角蒲公英(T.luridum)葉の切れ込みがある、冠毛は汚れた白色、角状突起がある。花は白または淡黄色

かなり端折ってます。詳細な記述は文末の原典を参照ください。

これより下は専門的な内容になるので、興味のある方はどうぞ
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2023年03月25日

粉緑蒲公英(fen lu pu gong ying)

粉緑蒲公英
Taraxacum dealbatum
白花蒲公英(bai fua pu gong ying)を含む白花蒲公英組(Sect Luecanta)に属する中国の白い花をもつタンポポ3種のひとつ。

学名のdealbatumは「漂白された」の意。

 中国名は粉绿蒲公英(fen lu pu gong ying)、直訳すると「ピンクグリーンタンポポ」となります。

 ロシア語ではОдуванчик белеющий(アドバンチェク ベリヨーシキ)「美白されたタンポポ」別名の「アクサイタンポポ」は産地のアクサイ地方の意でしょうか

IMG_8063.jpeg

★注:このページの画像はいずれも「中国白花タンポポ」として流通しているもの。粉緑蒲公英の可能性はありますが、確実ではありません。

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2022年05月13日

緑陰効果

タンポポの発芽に関係する因子として緑陰効果(緑陰阻害)があります。
種子は光が当たることで発芽しますが、植物の葉で覆われると、その葉を透過した光によって発芽が抑制される現象を指します。
rose_wakab2205111.jpg

緑陰効果についてのメモ
緑陰効果[leaf-canopy inhibition of germination]
 葉を透過して変化した光の波長分布(光質)によって生じる発芽阻害,あるいは種子の休眠誘導などの現象をさす.(中略)逆に裸地や春先の明るい林床で赤色光の比率が高い光の照射を受けると発芽が促進される.一年生草本の中でも特に撹乱依存種に多い.(以下略)
光合成事典「緑陰効果」より部分引用
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2022年04月18日

タンポポの年輪?

 タンポポの寿命について調べています。ブログ主が定点観測していたカンサイタンポポでは、10年ものと、現在17年目で記録更新中の株があります。
 ある研究者の経験によると、カンサイタンポポで25年というのがあるそうです。もうこうなると草(草本)ではなくて、木(木本)ではなかろうか。ただ在来種は冬になると地上部が枯れてしまうので、毎年同じ位置に咲いていても長生きしているという実感がないのかもしれません。

 ここまで考察したところで、もしかしてタンポポには年輪があるのでは?と気づきました。もちろん、地上部の花茎は中空ストロー状で毎年枯れているので年輪はできませんね。

 しかし、タンポポの根はかなり長く太く地下に伸びて生き続けています。温かいうちは成長が早く、寒い時期にはあまり成長しないので、タンポポの根は木と同様に年輪があるのではないかと考えました。
IMG_7228.jpeg
タンポポの観察辞典(偕成社)という本にタンポポの根の顕微鏡写真が載っていました。
同心円状の構造があって年輪のようでもあります。


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2020年04月29日

タンポポの寿命

 タンポポは草(草本)なので、春に花を咲かせて夏には枯れてしまうイメージがありますが、実は意外に長生きです。花が終わった後、綿毛のタネ(痩果)を飛ばして、夏には地上部の葉を枯らしてしまいますが、しっかり根は残っています。そして翌年の春に葉を展開してまた花を咲かせます。

 では一株のタンポポは何年くらい生きるのでしょうか?

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2019年12月28日

タンポポの花弁が白くなる理由についての考察(仮説)

 当ブログでは、シロバナタンポポがどうして白い花弁を持っているかという理由を、「シロバナタンポポは黄色色素を分解するカロチノイド分解酵素(CCD)を持っているので、白くなる」という仮説を採用しています。
kibi130427053.jpg
 この酵素を仮定することで、白花形質が優性(顕性)遺伝することや、シロバナタンポポの黄色変種キバナシロタンポポが生じるメカニズムを合理的に説明できました。

 ところがカンサイタンポポやカントウタンポポの白花変異がタンポポ調査で報告されています。

 「シロバナタンポポなどの白花種だけがカロチノイド分解酵素を持っているので花弁が白い」という前提ではこの現象を説明できないのが難点でした。

 色々考えて、思いついたのが「黄花種も含めてタンポポは全てカロチノイド分解酵素の遺伝子を持っている」という新たな仮説です。

 (1)遺伝子として持っているが、発現していない。(ブロックされている?)
 (2)シロバナタンポポでは遺伝子が発現した結果、花弁が白くなる。
 (3)シロバナタンポポでは、花弁だけに発現している、(だから花粉は黄色)
 (4)キバナシロタンポポは途中で遺伝子の発現が抑制される、(1/2,1/4だけ黄色いものがある)
 (5)カンサイタンポポの白花変異は遺伝子が何かの理由で発現する。

petal12041015.jpg
とりあえず、この仮説を検証するべく資料を漁ってみようと思います。

また、タンポポ花弁の黄色色素を分解する力が、花弁の抽出液と花以外の部分からの抽出液で差があるかどうかを比較することで検証できるかもしれません。

カロチノイド色素に関する文献を調べているとキクの研究文献でかなり参考になる情報がありました(2019/12/29追記)
キクではカロチノイド(文献ではカロテノイドと記載)分解酵素の発現が舌状花特異的であるとされていました。

キク花弁における白色形成のメカニズム」大宮あけみ、農業および園芸、第82巻、第11号(2007年)

一部抜粋
黄花系品種ではCmCCD4aの発現が抑制されているのではなく,遺伝子を持っていないことが明らかになった.
(中略)
 キクにおけるCmCCD4aの発現はきわめて舌状花弁特異的であり,花器官の中でもカロテノイドを含む管状花における発現はきわめて低かった.

CmCCD4aはキクのカロチノイド分解酵素:引用者注

さらに同文献では

CmCCD4aが花弁の白色形成に関与していることは,培養変異株や突然変異株によっても確認された(大宮ら 2006).花弁にカロテノイドの蓄積が認められない野生株'94−765'の花弁にはCmCCD4aが発現していたが,培養過程で花弁にカロテノイドが蓄積するようになった変異株ではCmCCD4a遺伝子が欠失していた.キクでは枝変わりや培養変異の際に染色体が脱落することがある.CmCCD4a遺伝子はこのような染色体の脱落に伴い,欠失するのではないかと考えられる.

これと同様のことがシロバナタンポポの黄色変異で起こっていると考えてよいのではないでしょうか。

 
キクは白色が優性であることや,白色花弁が突然変異で黄色に変化することも分解酵素により説明がつく.野生ギクにおいてもCmCCD4a酵素の有無により白色か黄色かが決まっているようである.この花弁の白色の形成機構がキク以外の植物にもあてはまるかどうか,興味深い.カロテノイドの生合成が抑制されてカロテノイドが蓄積しない例もあるだろう.CCD遺伝子は持っているが、発現量が少なくカロテノイドが蓄積している場合もあるだろう.植物によってさまざまな作戦で花弁のカロテノイド量が調節されているのではないかと考えている.


 カンサイタンポポの白花はカロチノイド生合成の抑制によるという考え方もあるかも?

 
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2019年05月09日

花弁の白化と除草剤

 シロバナタンポポの花弁が白い理由として、黄色色素がカロチノイド分解酵素によって分解されているため白い、という仮説を勝手に当ブログでは提唱しています。この酵素の存在を仮定することで、白色形質が優性(顕性)遺伝することや、シロバナタンポポのの花弁が黄色くなったキバナシロタンポポについても合理的な説明が可能です。

 ところが、タンポポ調査で報告のあるカンサイタンポポ、カントウタンポポの白花についてはカロチノイド分解酵素では説明がつきません。突発的に分解酵素が発現するというのは、考えにくいのです。

 最近読んだ情報で、ある種の除草剤、シキミ酸合成阻害作用のあるものにはカロチノイド合成系を阻害して、花色が白くなるというのがありました。

福岡大学教育学部 福原達人氏の植物形態学より引用。
フラボノイド色素は、芳香族アミノ酸のフェニルアラニン(Phe)から合成される。植物はフェニルアラニンをシキミ酸経路で合成するが、動物はシキミ酸経路を持たず、食物から摂取している。このことを利用して、シキミ酸経路を阻害することで動物に影響を与えずに植物を枯らす除草剤がある。このタイプの除草剤がかかると、葉や茎が枯れる前に色素合成が阻害されて花弁や花粉の色に影響が出ることがある。
ナガミヒナゲシ(ケシ科)の花。花弁は朱色で花粉は黄色。
ナガミヒナゲシ開花前に除草剤を散布された個体。色素合成が阻害されて花弁の色がほとんどなくなり、花粉は白色となる。
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2019年05月06日

外来種タンポポの外片がそり返っているのはナメクジ対策?

 外来種と在来種タンポポを見分ける重要なポイントは、花の外側のガクのように見える部分(総苞外片)が、密着しているか、外側に開いているかというところです。セイヨウタンポポなどの外来種は下に向かってそり返っていますし、カンサイタンポポなどの在来種では上向きに密着しています。

sakuradote10032027.jpg
 外来種のこの部分が何故そり返っているのか?について研究した論文を「九州大学学術情報リポジトリ」で見つけました。著者は九州大学理学部生物学科生態科学研究室所属の留学生のようです。
Recurved phyllaries of Taraxacum function as a floral defense : experimental evidence and its implication on the evolutionary history of Taraxacum
呉, 馥宇

花の防衛機能としてのタンポポ属の反転した総苞:実験的証拠とタンポポ属の進化の歴史へ関わり」とでも訳すのでしょうか

Abstract(要旨)をざっくりと読んでみたところ、
ナメクジに食べられないため」?
ねずみ返しのようにナメクジが這い登って花を食べてしまわないための機能だと?
 

在来種タンポポがの総苞外片が反り返っていない理由は
「これらの知見は、ヨーロッパのタンポポが、花喰いナメクジとの拮抗的共進化のもとでの防御メカニズムとして反り返った総苞片を獲得したが、この共進化は東アジアでは起こらなかったことを示唆している。」
だそうです。ふーむ。
 「日本のタンポポは夜には花を閉じていることで食害から逃れているが、外来種のナメクジにはそれは効果がない」とも書かれていました。
 日本産ナメクジはあまりタンポポを食害しなかったのでしょうか?

 この論文で使用されていた在来種はカンサイタンポポだったので、総苞外片の角状突起はあまり大きくないわけですが、在来種タンポポの角状突起も食害への防衛機能を果たしているのでしょうか?
usugi1504070030.jpg

 在来種タンポポの角状突起はトウカイタンポポのように2mmを超える大型のものもありますし、カンサイタンポポのようにほとんど目立たないものもあります。また同じ種類であっても春先では突起が小さくて、季節が進むと突起が大きくなるものもあったりします。

 この辺りの違いをナメクジの出現地域や季節と比較してみると面白い結果が出るのかもしれません。
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2019年04月13日

2倍体ヤマザトタンポポに関するメモ

 島根大学生物学研究室林先生の論文に登場した2倍体のヤマザトタンポポに関するメモ。

ヤマザトタンポポ(Taraxacum arakii)は4倍体、5倍体とされていた。
島大論文では、4倍体、5倍体がほとんどであったが、大庭町で3倍体、秋鹿町で2倍体のものがあったとされる。

以下、過去の文献、研究(私信も含む)より。

森田の分類(1995)
ヤマザトタンポポは森田分類では、クシバタンポポの一種とされ、4倍体。ケンサキタンポポも4倍体

タンポポの観察実験(P72)
ヤマザトタンポポは4倍体と5倍体

日本産倍数性タンポポの問題(種生物学研究(2)35−45 大阪府立大学:山口聡 1978)
4倍体 出雲三成、NOCHI(岡山県北部?)
5倍体 出雲三成 美保関 阿井

西日本を中心とした淡黄色型倍数体タンポポのクローン間での花色変異
(中村剛士:大阪府立大学)

4倍体、5倍体
4倍体 松江市坂本町、
5倍体 玉湯、東出雲、八束、鹿島、荘成町、古曽志、宍道、大庭、奥出雲



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2019年03月12日

カロチノイド分解酵素の阻害に関連する論文

 シロバナタンポポの花弁が白いのは黄色のカロチノイド色素がカロチノイド分解酵素(CCD)の働きにより分解されて白い花弁となっている。という仮説を当ブログでは採用しています。

 もともとこの仕組みについてはキクの白色品種と黄色品種の研究結果から推定しているのですが、キクの白色品種に存在するカロチノイド分解酵素の働きを阻害させたところ、黄色い花弁となったという研究論文を見つけました。

 シロバナタンポポの薄黄色変種のキバナシロタンポポができるメカニズムを考えるヒントになりそうです。

simohigasi_kibana169.jpgkawahara_kibana195.jpg
キクに存在するカロテノイド分解酵素ホモログのクローニングと機能解析

*大宮 あけみ, 岸本 早苗, 間 竜太郎, 能岡 智, キクに存在するカロテノイド分解酵素ホモログのクローニングと機能解析, 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集, 2007, 2007 巻, 第48回日本植物生理学会年会講演要旨集, p. 068, 公開日 2007/12/13, https://doi.org/10.14841/jspp.2007.0.068.0, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspp/2007/0/2007_0_068/_article/-char/ja, 抄録: 白色花弁のキクから突然変異により黄色花弁が生じることがある。しかし、その逆の現象は起こらない。このことは、白色花弁においてカロテノイドの蓄積に抑制的に働いている因子が突然変異により欠失し、黄色花弁に変わるという可能性が考えられる。その因子を明らかにすることを目的に、キクの白色花弁と黄色花弁において差次的に発現している遺伝子をサブトラクティブハイブリダイゼーション法によりスクリーニングした結果、白色花弁で発現が高い遺伝子としてカロテノイド分解酵素ホモログ遺伝子(CmCCD4a)を得た。CmCCD4aのRNAiコンストラクトを白花キク品種に導入した結果、カロテノイドを蓄積し花弁が黄色になった形質転換体が得られた。また、CmCCD4aを黄花キク品種の花弁で過剰発現させると、花弁が白色になった形質転換体が得られた。このことからキクの白色花弁では、カロテノイドを合成しているもののCmCCD4aによって分解されることにより白色が形成されるものと考えられた。デジェネレートプライマーを用いてキクに存在するカロテノイド分解酵素遺伝子をスクリーニングし、CmCCD4aのほかに3タイプのホモログを得た(CmCCD4b、CmNCED3a、CmNCED3b)。これらのホモログは花弁における発現がきわめて低かった。したがって、カロテノイド分解酵素ホモログの中で花弁の白色の形成に関与しているのはCmCCD4aのみであると考えられた。
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2018年10月14日

タンポポに寄生するタマバエについて

タンポポ葉に独特の斑紋を形成するタンポポハフクレフシについてのメモ。

タンポポ葉に円形の赤紫色の斑紋がみられることがある。これはタマバエの幼虫が寄生して虫えい(虫こぶ)を作ったもの。
https://www.google.com/search?q=%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%9D%E3%83%8F%E3%83%95%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%95%E3%82%B7%E3%80%80%E6%B9%AF%E5%B7%9D&client=firefox-b&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ved=2ahUKEwij9_mkkYXeAhXGerwKHad8DmEQsAR6BAgGEAE&biw=951&bih=881
日本のセイヨウタンポポに虫こぶ(ゴール)を作るのはヨーロッパ産のタマバエ(Cystiphora taraxaci )によく似ている。
日本の在来タンポポに虫こぶを作るのはこれと同一種かどうかを研究されている。

鹿児島大学名誉教授の湯川先生が研究されている




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2018年10月07日

宍道湖ウサギとタンポポ、タマバエ

 家人と島根県立美術館へ。鑑賞後に、美術館の建っている宍道湖岸の散策をしていると、
ウサギIMG_3981.jpg
ブロンズ製のウサギの前に生えているタンポポの葉に妙な斑点があるのを見つけました。
宍道湖ウサギIMG_3979.jpg
もしかしたら、以前にタンポポメーリングリストに調査依頼が来ていた、タンポポに寄生するタマバエの虫こぶ、タンポポハフクレフシ(たんぽぽ葉膨れ節?)かも?
宍道湖ウサギIMG_3980.jpg
ネットで検索した画像とは微妙に違う気もするし、どうかなあ。
(虫注意!)
https://www.google.com/search?q=%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%9D%E3%83%95%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%95%E3%82%B7&ie=utf-8&oe=utf-8&client=firefox-b-ab

https://blog.goo.ne.jp/koizumi-masato/e/f3c4eb8f18d934a28c6943a4e8619bf0

気になったので、次の週に再訪し葉を確認しました。裏返してみても虫体は確認できず、片方は完全に穴が空いていたので、単に葉の傷だったようです。(2018/10/13追記)



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2017年01月13日

島根県松江地域におけるタンポポ属植物の比較調査

島根大学生物資源科学部研究報告 第21号に掲載された論文の要旨メモ

 島根県松江地域に分布するタンポポ属8種と一つの亜種を調査した。2倍体種のオキタンポポを除いた全ての種は無性生殖である。比較調査はこれらの花の形態的特徴によって行った。染色体数が調査され、2から5倍体であった。
 さらにこれらの無性生殖種の遺伝的変異は電気泳動法で調べられた。

 ヤマザトタンポポとケンサキタンポポは中間型のものもあり、分類が困難であったが、総苞外片の角状突起が2mmのものをケンサキ、2mm以下をヤマザトとした。2mmに満たないものの、それに近いものを中間型とした。
ヤマザトのうち、秋鹿町で採集された1個体が2倍体であった、大庭町ケンサキの1個体が3倍体、大根島中間型の1個体が5倍体で、それ以外は全て4倍体であった。

島根県松江地域におけるタンポポ属(Taraxacum Wiggers)植物の比較調査 
林 蘇娟 Bull. Fac. Life Env. Sci. Shimane Univ., 21:3 - 7, September 30, 2016



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2016年12月09日

タンポポの旅

 タンポポは風が綿帽子の種が風で運ばれて、新しい場所で芽を出して増えていく。というのが一般的なイメージでしょう。
 しかし、島根県東部という限られた範囲ではありますが、長年タンポポを調べていると、どうもそれだけではないと考えるようになりました。

hinami110050658.jpg

 もちろん大部分は、風によって運ばれるのだとは思うのですが、それだけでは説明のつかないほど離れた場所にタンポポが運ばれていることがあります。

とりあえず私はタンポポの移動方法は以下の3つだと考えています。

1、による種の運搬。
2、による種の運搬
3、による種またはタンポポ本体の運搬。
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2014年06月22日

オダサムタンポポはエゾタンポポ

「オダサムタンポポの研究史」北方山草 18 (2001)において、松井 洋氏は羊蹄山のオダサムタンポポエゾタンポポ(T.venusum)であると発表している。

オダサムタンポポは、小田切辰太郎が樺太島豊栄郡栄浜村小田寒で採集 (1926年 8 月 8日)した植物に小泉源ーが 1933年に標本ラベルに書いた名前に従って北村が T.otagirianum Koidz.ex Kitam.と発表した種である。種形用語は採集者 Otagiri Shintaro への献名で、和名は採集地名をとった小田寒蒲公英の意である。
(上記文献より引用)

オダサムタンポポはキク科のタンポポ属(Taraxacum Weber ex F.H.Wigg.) で 国内では羊蹄山 (1898m) と檎山支庁の大平山(1191m)にのみ自生している
(伊藤浩司・梅津俊. 1981.北海道の高山植物と山草. p.16. 誠文堂新光社)

 森田の研究によると羊蹄山から得られた標本は倍数体であった。大平山の標本は2倍体であり、総苞の形も羊蹄山産のものは異なり、葉形以外はむしろユウバリタンポポに近い。
(森田竜義. 1976. 日本産タンポポ属の2倍体と倍数体の分布.国立科学博物館研究報色B類(植物学) 2(1):23-38.)

 松井氏は北海道大学などに所蔵する羊蹄山産と大平山産の標本を比較検討した結果、羊蹄山のタンポポは総苞片の毛は少なく、辺縁部にも毛はわずかであるが、エゾタンポポに近い。従って、羊蹄山産のタンポポはオダサムタンポポではなくエゾタンポポである。と結論付けている。
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2014年05月06日

カンサイタンポポの人工授粉

 庭で育てているカンサイタンポポが満開状態です。しかしどの花も種ができている気配がありません。
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 カンサイタンポポは2倍体の有性生殖なので、他の花の花粉を受粉できないと受精して種を作る事ができません。


そこで、今回、倉敷で採集してきたカンサイタンポポの頭花をゴシゴシとうちのカンサイタンポポの花にこすりつけてみました。

果たして、ちゃんと種ができるでしょうか。


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2013年05月29日

タンポポは長日性植物か

 初春に発芽した緋紅蒲公英が今シーズンは花を咲かせませんでした。

rose130518001.jpg
 5月中旬には葉もかなり生長していたのですが、花芽(蕾)はできませんでした。
 せっかくここまで生長したのだから、なんとか花を咲かせる方法は無いでしょうか。ここでハタと考え込みました。

 タンポポの花芽(蕾)ができる条件は何だろう?
rose11040421.jpg
(緋紅蒲公英の蕾:2010年4月)

 ネットで検索したところ在来種タンポポは長日性だという記述もありました。日照時間が長くなる初春に花を咲かせる在来種は確かに長日性植物のように思えます。
Wikipedia:光周性
rose11042423.jpg
(開花した緋紅蒲公英:2010年4月)

 ちなみに日照時間に関係なく年中花を咲かせている外来種タンポポは中性植物とされています。
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2013年05月06日

タンポポ白花形質の遺伝様式についての仮説

 シロバナタンポポカンサイタンポポの花粉がケイリンシロタンポポに受粉してできた雑種なのですが、白い花のケイリンシロタンポポと黄色い花のカンサイタンポポの雑種であるシロバナタンポポが白い花になるということは、白い花の形質は優性遺伝すると考えられます。

 タンポポの染色体は8本が基本で、有性生殖をする2倍体のカンサイタンポポは2n=2X=16本の染色体を持っています。
choromo_platy019.jpg
(2倍体のカントウタンポポ染色体:「日本産2倍体タンポポの核型分析」山口聡、染色体U-45-44(1986)より引用。)


 以上の事実に基づき、
白花系タンポポの遺伝様式とメカニズムについて考察してみました。


 基本になる1組8本のうちのどれか1本の染色体に花弁の発色に関わる遺伝子が乗っているわけですから、カンサイタンポポはそれを2組もっていることになります。白色形質は優勢遺伝するという仮定に基づけば、カンサイタンポポは2組とも黄色形質の遺伝子です。減数分裂で花粉には黄色形質の1組が存在します。

 卵細胞を提供する母親であるケイリンシロタンポポは4倍体(2n=4X=32)で32本の染色体があり、発色に関わる染色体は4組持っていると考えられます。そのうちの少なくとも1本白色にする遺伝子を持っていると考えられるわけです。

 タンポポの花色が白色になるメカニズムについては未だ明らかにされてはいないのですが、ここでは花弁の黄色色素を分解するカロチノイド分解酵素(CCD)によって白くなるという仮説に基づいて、染色体のどれか一本に白色にする遺伝子(=CCDを合成する遺伝子)があると仮定しております。

(4組のすべてが白色という可能性もありますが、後述する理由により多くても3組です)

シロバナ模式図a.jpg


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2倍体タンポポの核型分析に関する文献

日本産2倍体タンポポの核型分析

choromo_platy019.jpg
(図1、カントウタンポポ Taraxacum platyculpum の染色体)

 日本産の2倍体タンポポの核型を比較し、基本染色体8組のうち2組が二次狭窄を明らかに保持していたが、オキタンポポでは今のところ1組しか認められなかった。
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(図3、モウコタンポポ節の2倍体タンポポの核型模式図)

日本産2倍体タンポポの核型分析」山口聡、染色体U-45-44(1986)より図版と要旨を引用。



日本におけるTaraxacum(キク科)の在来低地2倍体種の染色体研究

北村(1957)により、T. elatum, T. hondoense, T. longeappendiculatum, T. japonicum, T, maruyamanum and T. platycarpumに分類されている低地性2倍体タンポポ属が細胞学的に研究された。

6つの形の核型は次のようであった:T. platycarpum, 2n=16=2M+10m+4mcs; T. elatum, 2n=16=12m+4mcs: T. hondoense, 2n=16=2M+10m+4mcs; T. longeappendiculatum, 2n=16=12m+4mcs; T. japonicum, 2n=16=12m+4mcs; T. maruyamanum, 2n=16=14m+2mcs.

T. elatum, T. hondoense, T. longeappendiculatum, T. japonicum and T. platycarpumの核型は2n=16=12(M+m)+4mcsの表せる同様の形式であった。対照的に、T. maruyamanumのそれは2n=16=14m+2mcsであった。

この核型データは日本の低地性在来2倍体タンポポ属をT. platycarpum and T. maruyamanum. の2種とした芹沢(1986,1995)の分類学的研究を支持する。


佐藤杏子:Chromosome Studies of Native Lowland Diploid Species of Taraxacum (Asteraceae) in Japan
CYTOLOGIA Vol. 72 (2007) No. 3 P 309-317 の要旨より引用

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