2019年05月09日

花弁の白化と除草剤

 シロバナタンポポの花弁が白い理由として、黄色色素がカロチノイド分解酵素によって分解されているため、白いという仮説を勝手に当ブログでは提唱しています。この酵素を仮定することで、白色形質が優勢遺伝することや、キバナシロタンポポについても合理的な説明が可能です。

 ところが、タンポポ調査で報告のあるカンサイタンポポ、カントウタンポポの白花についてはカロチノイド分解酵素では説明がつきません。突発的に分解酵素が発現するというのは、考えにくいのです。

 最近読んだ情報で、ある種の除草剤、シキミ酸合成阻害作用のあるものにはカロチノイド合成系を阻害して、花色が白くなるというのがありました。

福岡大学教育学部 福原達人氏の植物形態学より引用。
フラボノイド色素は、芳香族アミノ酸のフェニルアラニン(Phe)から合成される。植物はフェニルアラニンをシキミ酸経路で合成するが、動物はシキミ酸経路を持たず、食物から摂取している。このことを利用して、シキミ酸経路を阻害することで動物に影響を与えずに植物を枯らす除草剤がある。このタイプの除草剤がかかると、葉や茎が枯れる前に色素合成が阻害されて花弁や花粉の色に影響が出ることがある。
ナガミヒナゲシ(ケシ科)の花。花弁は朱色で花粉は黄色。
ナガミヒナゲシ開花前に除草剤を散布された個体。色素合成が阻害されて花弁の色がほとんどなくなり、花粉は白色となる。
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2019年05月06日

外来種タンポポの外片がそり返っているメリットとは?

 外来種と在来種タンポポを見分ける重要なポイントは、花の外側のガクのように見える部分(総苞外片)が、密着しているか、外側に開いているかというところです。セイヨウタンポポなどの外来種は下に向かってそり返っていますし、カンサイタンポポなどの在来種では上向きに密着しています。

sakuradote10032027.jpg
 外来種のこの部分が何故そり返っているのか?について研究した論文を「九州大学学術情報リポジトリ」で見つけました。著者は九州大学理学部生物学科生態科学研究室所属の留学生のようです。
Recurved phyllaries of Taraxacum function as a floral defense : experimental evidence and its implication on the evolutionary history of Taraxacum
呉, 馥宇

「花の防衛機能としてのタンポポ属の反転した総苞:実験的証拠とタンポポ属の進化の歴史へ関わり」とでも訳すのでしょうか

Abstract(要旨)をざっくりと読んでみたところ、「ナメクジに食べられないため」?ねずみ返しのようにナメクジが這い登って花を食べてしまわないための機能だと?
 

在来種タンポポがの総苞外片が反り返っていない理由は
「これらの知見は、ヨーロッパのタンポポが、花喰いナメクジとの拮抗的共進化のもとでの防御メカニズムとして反り返った総苞片を獲得したが、この共進化は東アジアでは起こらなかったことを示唆している。」
だそうです。ふーむ。
 そうすると在来種タンポポの角状突起も食害への防衛機能を果たしているのでしょうか?
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2019年04月13日

2倍体ヤマザトタンポポに関するメモ

 島根大学生物学研究室林先生の論文に登場した2倍体のヤマザトタンポポに関するメモ。

ヤマザトタンポポ(Taraxacum arakii)は4倍体、5倍体とされていた。
島大論文では、4倍体、5倍体がほとんどであったが、大庭町で3倍体、秋鹿町で2倍体のものがあったとされる。

以下、過去の文献、研究(私信も含む)より。

森田の分類(1995)
ヤマザトタンポポは森田分類では、クシバタンポポの一種とされ、4倍体。ケンサキタンポポも4倍体

タンポポの観察実験(P72)
ヤマザトタンポポは4倍体と5倍体

日本産倍数性タンポポの問題(種生物学研究(2)35−45 大阪府立大学:山口聡 1978)
4倍体 出雲三成、NOCHI(岡山県北部?)
5倍体 出雲三成 美保関 阿井

西日本を中心とした淡黄色型倍数体タンポポのクローン間での花色変異
(中村剛士:大阪府立大学)

4倍体、5倍体
4倍体 松江市坂本町、
5倍体 玉湯、東出雲、八束、鹿島、荘成町、古曽志、宍道、大庭、奥出雲



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2019年03月12日

カロチノイド分解酵素の阻害に関連する論文

 シロバナタンポポの花弁が白いのは黄色のカロチノイド色素がカロチノイド分解酵素(CCD)の働きにより分解されて白い花弁となっている。という仮説を当ブログでは採用しています。

 もともとこの仕組みについてはキクの白色品種と黄色品種の研究結果から推定しているのですが、キクの白色品種に存在するカロチノイド分解酵素の働きを阻害させたところ、黄色い花弁となったという研究論文を見つけました。

 シロバナタンポポの薄黄色変種のキバナシロタンポポができるメカニズムを考えるヒントになりそうです。

simohigasi_kibana169.jpgkawahara_kibana195.jpg
キクに存在するカロテノイド分解酵素ホモログのクローニングと機能解析

*大宮 あけみ, 岸本 早苗, 間 竜太郎, 能岡 智, キクに存在するカロテノイド分解酵素ホモログのクローニングと機能解析, 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集, 2007, 2007 巻, 第48回日本植物生理学会年会講演要旨集, p. 068, 公開日 2007/12/13, https://doi.org/10.14841/jspp.2007.0.068.0, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspp/2007/0/2007_0_068/_article/-char/ja, 抄録: 白色花弁のキクから突然変異により黄色花弁が生じることがある。しかし、その逆の現象は起こらない。このことは、白色花弁においてカロテノイドの蓄積に抑制的に働いている因子が突然変異により欠失し、黄色花弁に変わるという可能性が考えられる。その因子を明らかにすることを目的に、キクの白色花弁と黄色花弁において差次的に発現している遺伝子をサブトラクティブハイブリダイゼーション法によりスクリーニングした結果、白色花弁で発現が高い遺伝子としてカロテノイド分解酵素ホモログ遺伝子(CmCCD4a)を得た。CmCCD4aのRNAiコンストラクトを白花キク品種に導入した結果、カロテノイドを蓄積し花弁が黄色になった形質転換体が得られた。また、CmCCD4aを黄花キク品種の花弁で過剰発現させると、花弁が白色になった形質転換体が得られた。このことからキクの白色花弁では、カロテノイドを合成しているもののCmCCD4aによって分解されることにより白色が形成されるものと考えられた。デジェネレートプライマーを用いてキクに存在するカロテノイド分解酵素遺伝子をスクリーニングし、CmCCD4aのほかに3タイプのホモログを得た(CmCCD4b、CmNCED3a、CmNCED3b)。これらのホモログは花弁における発現がきわめて低かった。したがって、カロテノイド分解酵素ホモログの中で花弁の白色の形成に関与しているのはCmCCD4aのみであると考えられた。
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2018年10月14日

タンポポに寄生するタマバエについて

タンポポ葉に独特の斑紋を形成するタンポポハフクレフシについてのメモ。

タンポポ葉に円形の赤紫色の斑紋がみられることがある。これはタマバエの幼虫が寄生して虫えい(虫こぶ)を作ったもの。
https://www.google.com/search?q=%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%9D%E3%83%8F%E3%83%95%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%95%E3%82%B7%E3%80%80%E6%B9%AF%E5%B7%9D&client=firefox-b&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ved=2ahUKEwij9_mkkYXeAhXGerwKHad8DmEQsAR6BAgGEAE&biw=951&bih=881
日本のセイヨウタンポポに虫こぶ(ゴール)を作るのはヨーロッパ産のタマバエ(Cystiphora taraxaci )によく似ている。
日本の在来タンポポに虫こぶを作るのはこれと同一種かどうかを研究されている。

鹿児島大学名誉教授の湯川先生が研究されている




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2018年10月07日

宍道湖ウサギとタンポポ、タマバエ

 家人と島根県立美術館へ。鑑賞後に、美術館の建っている宍道湖岸の散策をしていると、
ウサギIMG_3981.jpg
ブロンズ製のウサギの前に生えているタンポポの葉に妙な斑点があるのを見つけました。
宍道湖ウサギIMG_3979.jpg
もしかしたら、以前にタンポポメーリングリストに調査依頼が来ていた、タンポポに寄生するタマバエの虫こぶ、タンポポハフクレフシ(たんぽぽ葉膨れ節?)かも?
宍道湖ウサギIMG_3980.jpg
ネットで検索した画像とは微妙に違う気もするし、どうかなあ。
(虫注意!)
https://www.google.com/search?q=%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%9D%E3%83%95%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%95%E3%82%B7&ie=utf-8&oe=utf-8&client=firefox-b-ab

https://blog.goo.ne.jp/koizumi-masato/e/f3c4eb8f18d934a28c6943a4e8619bf0

気になったので、次の週に再訪し葉を確認しました。裏返してみても虫体は確認できず、片方は完全に穴が空いていたので、単に葉の傷だったようです。(2018/10/13追記)



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2017年01月13日

島根県松江地域におけるタンポポ属植物の比較調査

島根大学生物資源科学部研究報告 第21号に掲載された論文の要旨メモ

 島根県松江地域に分布するタンポポ属8種と一つの亜種を調査した。2倍体種のオキタンポポを除いた全ての種は無性生殖である。比較調査はこれらの花の形態的特徴によって行った。染色体数が調査され、2から5倍体であった。
 さらにこれらの無性生殖種の遺伝的変異は電気泳動法で調べられた。

 ヤマザトタンポポとケンサキタンポポは中間型のものもあり、分類が困難であったが、総苞外片の角状突起が2mmのものをケンサキ、2mm以下をヤマザトとした。2mmに満たないものの、それに近いものを中間型とした。
ヤマザトのうち、秋鹿町で採集された1個体が2倍体であった、大庭町ケンサキの1個体が3倍体、大根島中間型の1個体が5倍体で、それ以外は全て4倍体であった。

島根県松江地域におけるタンポポ属(Taraxacum Wiggers)植物の比較調査 
林 蘇娟 Bull. Fac. Life Env. Sci. Shimane Univ., 21:3 - 7, September 30, 2016



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2016年12月09日

タンポポの旅

 タンポポは風が綿帽子の種が風で運ばれて、新しい場所で芽を出して増えていく。というのが一般的なイメージでしょう。
 しかし、島根県東部という限られた範囲ではありますが、長年タンポポを調べていると、どうもそれだけではないと考えるようになりました。

hinami110050658.jpg

 もちろん大部分は、風によって運ばれるのだとは思うのですが、それだけでは説明のつかないほど離れた場所にタンポポが運ばれていることがあります。

とりあえず私はタンポポの移動方法は以下の3つだと考えています。

1、による種の運搬。
2、による種の運搬
3、による種またはタンポポ本体の運搬。
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2014年06月22日

オダサムタンポポはエゾタンポポ

「オダサムタンポポの研究史」北方山草 18 (2001)において、松井 洋氏は羊蹄山のオダサムタンポポエゾタンポポ(T.venusum)であると発表している。

オダサムタンポポは、小田切辰太郎が樺太島豊栄郡栄浜村小田寒で採集 (1926年 8 月 8日)した植物に小泉源ーが 1933年に標本ラベルに書いた名前に従って北村が T.otagirianum Koidz.ex Kitam.と発表した種である。種形用語は採集者 Otagiri Shintaro への献名で、和名は採集地名をとった小田寒蒲公英の意である。
(上記文献より引用)

オダサムタンポポはキク科のタンポポ属(Taraxacum Weber ex F.H.Wigg.) で 国内では羊蹄山 (1898m) と檎山支庁の大平山(1191m)にのみ自生している
(伊藤浩司・梅津俊. 1981.北海道の高山植物と山草. p.16. 誠文堂新光社)

 森田の研究によると羊蹄山から得られた標本は倍数体であった。大平山の標本は2倍体であり、総苞の形も羊蹄山産のものは異なり、葉形以外はむしろユウバリタンポポに近い。
(森田竜義. 1976. 日本産タンポポ属の2倍体と倍数体の分布.国立科学博物館研究報色B類(植物学) 2(1):23-38.)

 松井氏は北海道大学などに所蔵する羊蹄山産と大平山産の標本を比較検討した結果、羊蹄山のタンポポは総苞片の毛は少なく、辺縁部にも毛はわずかであるが、エゾタンポポに近い。従って、羊蹄山産のタンポポはオダサムタンポポではなくエゾタンポポである。と結論付けている。
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2014年05月06日

カンサイタンポポの人工授粉

 庭で育てているカンサイタンポポが満開状態です。しかしどの花も種ができている気配がありません。
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 カンサイタンポポは2倍体の有性生殖なので、他の花の花粉を受粉できないと受精して種を作る事ができません。


そこで、今回、倉敷で採集してきたカンサイタンポポの頭花をゴシゴシとうちのカンサイタンポポの花にこすりつけてみました。

果たして、ちゃんと種ができるでしょうか。


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2013年05月29日

タンポポは長日性植物か

 初春に発芽した緋紅蒲公英が今シーズンは花を咲かせませんでした。

rose130518001.jpg
 5月中旬には葉もかなり生長していたのですが、花芽(蕾)はできませんでした。
 せっかくここまで生長したのだから、なんとか花を咲かせる方法は無いでしょうか。ここでハタと考え込みました。

 タンポポの花芽(蕾)ができる条件は何だろう?
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(緋紅蒲公英の蕾:2010年4月)

 ネットで検索したところ在来種タンポポは長日性だという記述もありました。日照時間が長くなる初春に花を咲かせる在来種は確かに長日性植物のように思えます。
Wikipedia:光周性
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(開花した緋紅蒲公英:2010年4月)

 ちなみに日照時間に関係なく年中花を咲かせている外来種タンポポは中性植物とされています。
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2013年05月06日

タンポポ白花形質の遺伝様式についての仮説

 シロバナタンポポカンサイタンポポの花粉がケイリンシロタンポポに受粉してできた雑種なのですが、白い花のケイリンシロタンポポと黄色い花のカンサイタンポポの雑種であるシロバナタンポポが白い花になるということは、白い花の形質は優性遺伝すると考えられます。

 タンポポの染色体は8本が基本で、有性生殖をする2倍体のカンサイタンポポは2n=2X=16本の染色体を持っています。
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(2倍体のカントウタンポポ染色体:「日本産2倍体タンポポの核型分析」山口聡、染色体U-45-44(1986)より引用。)


 以上の事実に基づき、
白花系タンポポの遺伝様式とメカニズムについて考察してみました。


 基本になる1組8本のうちのどれか1本の染色体に花弁の発色に関わる遺伝子が乗っているわけですから、カンサイタンポポはそれを2組もっていることになります。白色形質は優勢遺伝するという仮定に基づけば、カンサイタンポポは2組とも黄色形質の遺伝子です。減数分裂で花粉には黄色形質の1組が存在します。

 卵細胞を提供する母親であるケイリンシロタンポポは4倍体(2n=4X=32)で32本の染色体があり、発色に関わる染色体は4組持っていると考えられます。そのうちの少なくとも1本白色にする遺伝子を持っていると考えられるわけです。

 タンポポの花色が白色になるメカニズムについては未だ明らかにされてはいないのですが、ここでは花弁の黄色色素を分解するカロチノイド分解酵素(CCD)によって白くなるという仮説に基づいて、染色体のどれか一本に白色にする遺伝子(=CCDを合成する遺伝子)があると仮定しております。

(4組のすべてが白色という可能性もありますが、後述する理由により多くても3組です)

シロバナ模式図a.jpg


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2倍体タンポポの核型分析に関する文献

日本産2倍体タンポポの核型分析

choromo_platy019.jpg
(図1、カントウタンポポ Taraxacum platyculpum の染色体)

 日本産の2倍体タンポポの核型を比較し、基本染色体8組のうち2組が二次狭窄を明らかに保持していたが、オキタンポポでは今のところ1組しか認められなかった。
Idiogram130506.jpg
(図3、モウコタンポポ節の2倍体タンポポの核型模式図)

日本産2倍体タンポポの核型分析」山口聡、染色体U-45-44(1986)より図版と要旨を引用。



日本におけるTaraxacum(キク科)の在来低地2倍体種の染色体研究

北村(1957)により、T. elatum, T. hondoense, T. longeappendiculatum, T. japonicum, T, maruyamanum and T. platycarpumに分類されている低地性2倍体タンポポ属が細胞学的に研究された。

6つの形の核型は次のようであった:T. platycarpum, 2n=16=2M+10m+4mcs; T. elatum, 2n=16=12m+4mcs: T. hondoense, 2n=16=2M+10m+4mcs; T. longeappendiculatum, 2n=16=12m+4mcs; T. japonicum, 2n=16=12m+4mcs; T. maruyamanum, 2n=16=14m+2mcs.

T. elatum, T. hondoense, T. longeappendiculatum, T. japonicum and T. platycarpumの核型は2n=16=12(M+m)+4mcsの表せる同様の形式であった。対照的に、T. maruyamanumのそれは2n=16=14m+2mcsであった。

この核型データは日本の低地性在来2倍体タンポポ属をT. platycarpum and T. maruyamanum. の2種とした芹沢(1986,1995)の分類学的研究を支持する。


佐藤杏子:Chromosome Studies of Native Lowland Diploid Species of Taraxacum (Asteraceae) in Japan
CYTOLOGIA Vol. 72 (2007) No. 3 P 309-317 の要旨より引用

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2013年05月01日

クシバタンポポの葉

 ヤマザトタンポポの中に葉の切れ込みの深いタイプがあり、クシバタンポポと見間違うものがあります。

 典型的なものは並べてみれば違いがわかるのですが、単体で見ると悩むものがあります。下の画像は、左がヤマザトタンポポ、右がクシバタンポポ。たまたますぐ隣に咲いているものを見付けました。
sofuya10042422.jpg
(島根県広瀬町祖父谷:2010年4月)


あらためてクシバタンポポの葉の形をまとめてみます。
kusi_sanbe03426014.jpg
島根県大田市三瓶:2003年4月
kusi_awadani0704140014.jpg
鳥取県日南町粟谷:2007年4月
kusi_higasihita10042412.jpg
島根県広瀬町東比田:2010年4月続きを読む
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2013年04月30日

ヤマザトタンポポの葉

 今年の春はヤマザトタンポポを集中的に観察、採集しました。調べれば調べるほど、ヤマザトタンポポの形態はバリエーションに富んでいます。中にはクシバタンポポと見間違うようなタイプも有り、クシバでもヤマザトでもないようなものにも出会います。
 
 ヤマザトタンポポの標準的な葉は淡緑色で切れ込みは中くらいです。
 新日本植物誌・顕花編:至文堂によると、「葉は斜上し、線状披針形、長さ30cm、幅4-5cm内外に達し、鈍頭、羽状中裂する。」とあります。
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(松江市西忌部町:2007年4月)
yama_daitou0704250038.jpg
(雲南市大東町:2007年4月)

 実際には典型的なものばかりではなく、例えばこのヤマザトは、花を見ればヤマザトと思えますが、葉の切れ込みはクシバタンポポと行っても良いぐらい切れ込みが深くなっています。
yama_inbeotani080414097.jpg
淡黄色の花弁はヤマザトに見えます。(松江市東忌部町大谷)
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2013年04月15日

キバナシロタンポポはケイリンタンポポの一種なのか?

 シロバナタンポポTaraxacum albidum)集団の中に時折出現するキバナシロタンポポは、シロバナタンポポが何らかの原因で黄色い花をつけた変種という見方が有ります。新潟大学の森田竜義先生が九州を中心とした地域のシロバナタンポポを採集して、アイソザイムによる分析をしたところ、同時に採集された黄花のシロバナタンポポは白花のものと同一なクローンだったとしています。(文部科学省科学研究費補助金研究成果報告書「エゾタンポポにおける無融合生殖複合体の構造と形成過程」より)

senbon11111515.jpg

 しかしその一方で、キバナシロタンポポが集団で自生しているところが高知や九州、松江などで確認されており、キバナシロタンポポはシロバナタンポポとは別種ではないかという考え方も出てきています。
 前出の森田龍義先生も、黄花のシロバナタンポポ集団はケイリンシロタンポポT.coreanum)かもしれないとの考え方を表明しておられます。

 ケイリンシロタンポポは韓国を中心として分布する白花のタンポポで、日本にも北九州を中心として白花のクローン(ツクシシロタンポポ)がありますが、森田先生によればケイリンシロタンポポには30以上のクローンがあり黄色いクローンも多いとのことです。


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2013年04月10日

プロイディアナライザー(倍数性判定機)

プロイディアナライザー(ploidy analyzer)

植物などの倍数性、異数性を測定するフローサイトメーター(flowcytometer)

http://www.chiyoda-s.jp/products/flowcytemeter.html

生の葉や痩果を標本としてタンポポの倍数性を測定できる。

 2倍体のタンポポと3倍体以上のタンポポを区別するには、花粉の大きさを調べ、大きさが均一なら2倍体、不揃いなら3倍体以上の倍数体という簡便な方法がある。しかし、3倍体以上のタンポポが4倍体なのか、5倍体なのかを調べるにはタンポポの根端細胞の染色体の数を調べるしか方法が無かった。


生の葉をカミソリなどで細かく刻み、細胞を壊して核を露出させる。DAPIで染色し、核に含まれるDNAの量を蛍光強度から算出する。

日本産タンポポと、中国系のタカサゴタンポポでは基本となる核DNA量が異なる。そのことを利用して、タンポポの起源を推定できる。
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ケイリンシロタンポポを求めて(江の川流域調査)

 雨模様のあいにくの天候でしたが、江の川中流域へシロバナタンポポTaraxacum albidum)の調査に出かけました。

kasubuti130410001.jpg
(江の川にかかる三江線の鉄橋:島根県美郷町粕淵)

 シロバナタンポポは新潟大学の森田教授の研究で、朝鮮半島から北九州にかけて分布している4倍体のケイリンシロタンポポT.coreanum)に2倍体のカンサイタンポポT.japonicum)の花粉がついて生まれた雑種5倍体であることがわかっています。

詳細は当ブログシロバナタンポポのルーツを参照ください

kamemura130410005.jpg
(シロバナタンポポ:美郷町亀村カヌーの里)

 森田教授によれば、シロバナタンポポが誕生したのはカンサイタンポポとケイリンシロタンポポの分布域の重なる地域、すなわち岡山県から広島県の北部にひろがる吉備高原で両者が出会って交雑したのではないかとのことです。

 森田教授の調査(1997)では、九州の北部を中心にケイリンシロタンポポが分布しており、島根県の江津市や中国地方の一部(岡山県哲西町、岡山県川上町神谷)でもケイリンシロタンポポが確認されています。

 北九州や吉備高原から離れた島根県江津市にケイリンシロタンポポが見つかった理由として、吉備高原から発して中国山地を貫いて江津市で日本海に注ぐ江の川によって運ばれたのかもしれないと私は考えました。

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2013年04月04日

島根県東部のキビシロタンポポ分布と伯太川水系(仮説)

 キビシロタンポポ(Taraxacum hideoi)はシロバナタンポポ(T.albidum)によく似ていますが、花弁がわずかに薄黄色を帯び、全体に小ぶりなのが特徴で岡山県を中心として分布しています。

simojyu110050667.jpg

 島根県内では、西日本タンポポ調査2010調査で島根県内に分布していることが報告されました。以前よりタンポポ研究者の間では、岡山に隣接した島根と鳥取にも分布していてもおかしくはないとされていたのですが、この調査で山陰両県にも自生していることが確認されました。

 当ブログでは、2007年春に安来市伯太町の県境近くでキビシロタンポポらしきものを報告していました。その後タンポポ調査で確認された場所以外にも自生地を見つけましたが、その地域はかなり限定的で、なおかつ点在しています。
伯太川水系キビシロ.jpg
(安来市内のキビシロタンポポ自生地点と伯太川)


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2012年04月21日

クシバタンポポとヤマザトタンポポの頭花

 クシバタンポポTaraxacum pectinatum)とヤマザトタンポポT.arakii)はどちらも黄花の在来種で、森田の分類では同種異名とされていました。また研究者によってはケンサキタンポポとヤマザトタンポポ、キビシロタンポポを同種とすることもあって、区別が難しいタンポポです。

 今回、同じ日に比較的近い場所で採集したクシバタンポポとヤマザトタンポポの頭花と花弁を比べてみました。

involucre12041561.jpg

左がクシバタンポポ、右がヤマザトタンポポです。
花弁の色はヤマザトがやや淡く、外総苞片に小角突起があります。クシバタンポポは小角突起がほとんど無く、外総苞片の先端はこぶ状にもりあがって、総苞の下半分がこんもりとした感じです。
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