南アフリカを原産地とする。北アメリカ、オーストラリア、日本(三重県・兵庫県)に帰化している(日本帰化植物図鑑)とのことですが、ネットの情報からするとさらに広範囲に帰化している様子です。松江市近郊でも咲いている場所があるらしいので、調査に出かけました。

山村のちょっとした公園の植え込みに群落がありました。
(2014/6/15:雲南市大東町)

よく観察すると舌状花は外側だけで中央部は筒状花になっています、小ぶりなガーベラという感じです。でもタンポポの開花1日目のものは外側の舌状花1列だけが開いているので、そっくりに見えます。

総苞は上向きで密着していますが、総苞片の先端が尖って棘状になっています。花茎全体には剛毛が密生しています。
葉の表面や周囲には毛が生えています。裏面にも白い毛が密生しています。これが和名の「ワタゲ(綿毛)」の由来でしょうか。

ワタゲハナグルマ(A.calendula)とワタゲツルハナグルマ(A.prostrata)の違いはツル(匍匐茎)があるかどうかです。匍匐茎らしいものが見当たらないことで最初はワタゲハナグルマ(A.calendula)かと思ったのですが、「帰化植物図鑑」平凡社2003には、匍匐枝は花後に伸びる、ワタゲハナグルマは中央部の筒状花部分が紫褐色、と書いてありました。Wikipediaの写真で見てみると、ワタゲハナグルマはタンポポそっくりには見えません。
そういう特徴から今回掲載したものはワタゲツルハナグルマとしました。
ネット上ではワタゲハナグルマ(A.calendula)とワタゲツルハナグルマ(A.prostraya)の混同が見受けられます。
両方とも南アフリカ原産ですが、オーストラリアにも拡がっていてケープウイード(cape weed)という呼び名もあるようです。国内では園芸種「アークトテカ」で売られています。法面保護や休耕田に植えるなどカバープランツの用途に使われているとのことです。

(法面いっぱいに拡がるワタゲツルハナグルマ)
ネット上で検索や、ブログへのコメントの情報で生息場所(撮影地)の確認ができた場所は、鹿児島県喜界島、宮崎市、福岡市、広島県(広島市安佐北区、福山市、庄原市)、島根県(雲南市、安来市)、京都府宮津市、大阪府(伊丹市、枚方市)、兵庫県(神戸市、芦屋市、明石市、赤穂市、淡路市)香川県(琴南)、滋賀県(大津市、草津市、長浜市)、三重県鈴鹿市、愛知県(西尾市、安城市、豊橋市)、静岡県浜松市、千葉県(旭市、いすみ市、佐倉市)東京都板橋区。
環境がとても悪い場所(犬や猫の尿、糞害が多く、夏は最近では37度以上になることもあり、冬はしばしば氷点下、積雪あり、強乾燥)なのに、とても強く、とうとう枯れたかなと思っていてもいつのまにか見事に復活して満開になっています。
その強靱さに驚くとともになんという植物なのだろうと調べていました。
ここで正体が判明して、すっきりしました。ありがとうございます。
ちなみに、匍匐茎の様子からツルハナグルマの方だと思います。
西日本を中心にかなり広範囲に拡がっているようです。
我が家の庭に一株植えて見ましたら、次々に匍匐茎を伸ばして繁殖を始めましたので、慌てて茎を切りまくりました。
ワタゲツルハナグルマに間違いない様です。
場所は福岡市城南小松ヶ丘バス停の近く。
名前が分かって嬉しいです。
佐野様、ご訪問とコメントありがとうございます。今の時期ワタゲツルハナグルマが満開のようです。