2013年05月29日

タンポポは長日性植物か

 初春に発芽した緋紅蒲公英が今シーズンは花を咲かせませんでした。

rose130518001.jpg
 5月中旬には葉もかなり生長していたのですが、花芽(蕾)はできませんでした。
 せっかくここまで生長したのだから、なんとか花を咲かせる方法は無いでしょうか。ここでハタと考え込みました。

 タンポポの花芽(蕾)ができる条件は何だろう?
rose11040421.jpg
(緋紅蒲公英の蕾:2010年4月)

 ネットで検索したところ在来種タンポポは長日性だという記述もありました。日照時間が長くなる初春に花を咲かせる在来種は確かに長日性植物のように思えます。
Wikipedia:光周性
rose11042423.jpg
(開花した緋紅蒲公英:2010年4月)

 ちなみに日照時間に関係なく年中花を咲かせている外来種タンポポは中性植物とされています。

 しかし、在来種タンポポでもシロバナタンポポ、カントウタンポポは秋に開花することが知られています。
「タンポポ類の異常開花性について」和田優:大東文化大学紀要第28号

 実際にわたしもキビシロシロバナが秋に咲くのを観察しています。

kiyomizu11120412.jpg
(初冬に開花しているキビシロタンポポ:2011/12/4 安来市)

 タンポポが長日性植物だとすると、日照時間が短くなっていく秋に開花することを説明できません。

 むしろ桜の花のように、低温条件が必要なのではと思います。秋になっていったん低温にさらされた後、少し暖かくなった時期にタンポポの秋咲きがみられると思われます。

ネットからの引用ですが以下のような文章を見つけました。

「ドクトル ミツイの生物学雑記帳」
http://www.geocities.jp/doctor_mitsui/plant_2.html


最近、従来の古典的な手法に代わって、分子生物学の手法から花芽形成のメカニズムが徐々に解明されつつあります。
シロイヌナズナ(Arabidopsis)で、花芽形成を制御している遺伝子群が見つかり、この中にFLOWERING LOCUS C(FLC) という花芽形成を著しく抑制する遺伝子があることが分かりました。このFLC遺伝子を 働かないようにすれば、花芽形成が始まります。

 植物にはある一定期間低温に曝さないと花芽が形成されないものが古くから 知られています。これを春化現象(バーナリゼーション)といいます。低温処理をすることによって、 FLC遺伝子の発現を抑制する別の遺伝子が発現し、花芽形成が進むことが明らかにされて います。


 うちの緋紅蒲公英も一度冷蔵庫に数日おいてみようかな

 手始めに、緋紅の鉢のひとつを今日の夕方から冷蔵庫に入れてみました。とりあえず3日間の予定(5/30追記)

rose130518006.jpg
実験に使う「緋紅32号」、ひと鉢に3株育っています

さらに追加でキビシロタンポポ1鉢「清水3号」も冷蔵庫へ(2013/5/31)



posted by しまねこ at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究ノート
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/68577656
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック