今回のテーマは伯太川沿いで黄花の在来種タンポポを探すことでした。現在までの自分の調査ではキビシロとシロバナばかりで、在来種の黄花を見つけたことがありません。タンポポ調査西日本2010では、この地域で数カ所確認されているのですが。

(赤い点が調査地点、黄色が走行コース)
最初に一番北側の安来市清水寺付近、いままでよりも広い範囲でキビシロタンポポ(Taraxacum hideoi)が自生しているのを確認できました。

開花のシーズンを過ぎているので、ほとんど綿帽子で花がなかなか見つかりません。


種子(痩果)の色は黒褐色、総苞(ガクに見える部分)外片先端の角状突起は小型
今まで在来種を見つけたことは無いけど、西日本タンポポ調査で在来種の記録がある伯太町小竹方面へ。なかなか見つからず諦めかけたところで、シロバナタンポポらしい綿帽子を発見。
草丈が高いのでシロバナだと思うのだけれど、なんとなく怪しい、キビシロタンポポの匂いがする。

綿帽子の種(痩果)の色がさっき見てきた清水寺のキビシロと同じくらい濃い。


中にはこんな形の総苞(ガクに見える部分)をしたのもあるし、種の色が淡褐色なのもあって、これだとシロバナだしなあ。
さらに周辺を探しまわってみると、いかにもキビシロっぽい小型のタンポポがありました。花や痩果が無いので確実ではないのですが。

葉の色や形、拡がり具合がキビシロです。シロバナだともう少し葉が斜めに立ち上がってきます。キビシロタンポポの特徴的な薄いクリーム色の花弁を今年は難しいけれど来年また確認に来たいと思います。
そのキビシロ?の群れのなかに一株だけ黄色い花があって、これがクシバタンポポ(T.pectinatum)でした。

葉の切れ込みが典型的な櫛葉状です。


総苞の外片(ガクに見える部分の外側)が全体の長さの1/2以下で、先端の角状突起が無くて、こぶ状になっています。そのため、総苞の下半分がもっこりと膨らんで見えます。
その後は、さらに南下して県境近くの伯太町草野六呂坂でキビシロタンポポを確認。
さらに県境を越えて鳥取県日南町粟谷と阿毘縁(あびれ)の2カ所でクシバタンポポが咲いているのを確認してきました。
帰り道に伯太町下十年畑へ立寄り、前回の調査(5/3)で確認できなかったキビシロを探しました。廃屋の廻りの草むらから顔を出しているのをようやく発見。

背の高い草に囲まれたせいで葉や花茎が長く立ち上っているので、シロバナタンポポのように見えます。

でも花弁の色がクリーム色なのでキビシロタンポポです。
今回の調査行で、シロバナとキビシロの混在には悩まされました。キビシロが咲いているほんの近く生えているのに総苞の形や痩果の色はどう見てもシロバナです。花や痩果が無いと区別ができません。
シロバナは5倍体、キビシロは4倍体という違いがあるので倍数性を調べれば明らかになるのですが、野外でそんな簡単に調べる方法はありません。困ったものです。