2013年04月10日

ケイリンシロタンポポを求めて(江の川流域調査)

 雨模様のあいにくの天候でしたが、江の川中流域へシロバナタンポポTaraxacum albidum)の調査に出かけました。

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(江の川にかかる三江線の鉄橋:島根県美郷町粕淵)

 シロバナタンポポは新潟大学の森田教授の研究で、朝鮮半島から北九州にかけて分布している4倍体のケイリンシロタンポポT.coreanum)に2倍体のカンサイタンポポT.japonicum)の花粉がついて生まれた雑種5倍体であることがわかっています。

詳細は当ブログシロバナタンポポのルーツを参照ください

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(シロバナタンポポ:美郷町亀村カヌーの里)

 森田教授によれば、シロバナタンポポが誕生したのはカンサイタンポポとケイリンシロタンポポの分布域の重なる地域、すなわち岡山県から広島県の北部にひろがる吉備高原で両者が出会って交雑したのではないかとのことです。

 森田教授の調査(1997)では、九州の北部を中心にケイリンシロタンポポが分布しており、島根県の江津市や中国地方の一部(岡山県哲西町、岡山県川上町神谷)でもケイリンシロタンポポが確認されています。

 北九州や吉備高原から離れた島根県江津市にケイリンシロタンポポが見つかった理由として、吉備高原から発して中国山地を貫いて江津市で日本海に注ぐ江の川によって運ばれたのかもしれないと私は考えました。

  それを確認するため、江の川中流域の美郷町でシロバナタンポポを探し、それがケイリンシロタンポポではないかを調べることにしたのです。

 ケイリンシロタンポポとシロバナタンポポを鑑別するポイントとして森田教授は、ケイリンシロタンポポは総苞外片が総苞全体の2/3から3/4に達し、外片先端の角状突起が大型の傾向が有るとしています。

 今回の調査では美郷町の亀村にあるカヌーの里、美郷町浜原、滝原でシロバナタンポポを見つけることができました。総苞の形もケイリンシロタンポポの特徴に近いように見えますが、染色体を調べて染色体数32本の4倍体かどうかを確認しないと決定できません。

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(シロバナタンポポ:美郷町滝原上バス停付近) 

 今までもケイリンシロタンポポの特徴のあるシロバナタンポポを見つけては染色体をしらべてみたのですが、すべて染色体数40本で5倍体のシロバナタンポポでした。
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(浜田産シロバナタンポポの染色体:40本の染色体が見えます)

 ケイリンシロタンポポとシロバナタンポポを頭花などの形態から見分けるのはかなり困難です。シロバナタンポポはすべてが同一クローンとされていますが、生育環境により総苞外片の長さや角状突起の大きさはバリエーションに富んでいます。

 決め手になるのは、染色体数と葉のアイソザイムの違いです。研究が進めば野外で葉から酵素やDNAを抽出してその場で判定することも可能となるかもしれませんが、現時点では夢のような話です。

 またプロイディアナライザーという装置を使えば1検体あたり数分で何倍体かを調べることができるそうですが、定価が500〜700万円って、金も設備もないアマチュアには無理です。

 手間ひまはかかりますが、根の先端の細胞の染色体数を数えるのが現実的な方法なのです。
今回も現地で採集してきた「シロバナタンポポ」を育てて、染色体数を調べる予定です。
posted by しまねこ at 18:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 研究ノート
この記事へのコメント
こんばんは
以前から、タンポポの種類を見分けたりするのに、参考にさせて頂いておりました。

ケイリンシロタンポポなるものもあるのですね。
知らなかったです。
ぜひ、これぞケイリンシロタンポポと言う良い結果を出してくださいね。

ではまたお伺いします。
Posted by アヤヨシ at 2013年04月12日 23:30
アヤヨシ様、ご訪問ありがとうございます。
タンポポの見分けは難しいです。特にシロバナ系のタンポポは厄介です。インフルエンザの判定キットみたいに葉っぱの絞り汁をたらして5分で判定みたいなものが無いかなあ、など妄想したりします。
Posted by しまねこ at 2013年04月18日 22:07
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