2011年04月29日

4年ぶりの開花

 研究用に栽培しているカンサイタンポポが開花しました。2005年に自生地の北公園から採集して来た株で、今年で6年目の長寿株です。タンポポは多年生草本ですが、寿命はどれくらいなのでしょうか。

kansai11042908.jpg

 採集して来た翌年(2006年)には4輪ほど開花し、その次の年(2007年)に1輪だけ咲きました。その後、全く花をつけないままだったのですが、今年になって突然蕾ができました。
 去年まで鉢に植えっぱなしで肥料をやっていなかったのですが、昨年から少しずつ園芸用の液肥を与えてみたせいかもしれません。---(5/15)-----

 このカンサイタンポポは今シーズン1輪だけしか開花しませんでしたが、ほとんどがシイナ(不稔種子)の中に6粒、痩果(種子)ができていました。カンサイタンポポなど在来2倍体種は自家不和合性があるので、周りに2倍体種の無い環境では種子ができないと思っていました。
 
 周囲に咲いている外来種の花粉を受粉した可能性がありますが、特定の条件では自家不和合性が破れて自家受粉することがあるそうです。

「外来生物の生態学」(種生物学会編:文一総合出版)から一部引用します。
2倍体を種子親、3倍体を花粉親として交配させると、生じる種子の大部分は2倍体であり、それは種子親(2倍体)の自殖種子であった。(中略)この現象はメントール現象として知られていて、自家花粉と倍数体花粉(異種)との混合花粉が柱頭に付着することで、自家不和合性が崩壊して自家受精すると考えられている。(p223)

 この6粒の種を播いて自家受粉のカンサイタンポポなのか、外来種の花粉による雑種タンポポなのかを確かめてみることにしました。
(2011/5/15追記)
kansai110052754.jpg



5/30 双葉らしきものが出ていました。

kansai11060101.jpg



6/11 次々と発芽して、播いた6粒のうち4つまでが発芽しました。
kansai11061101ya.jpg



6/22 夏至
 双葉の中央から本葉が伸びてきています。左の株は2枚目の本葉が見えます。
kansai11062105.jpg
 
posted by しまねこ at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | カンサイタンポポ
この記事へのコメント
しまねこ様、はじめまして。 在来タンポポにも興味があり、時々このブログを見させてもらっています。
『6/22 夏至 双葉の中央から本葉が伸びてきています。左の株は2枚目の本葉が見えます。』
の株の現在(自家受粉か、雑種的なのか)が気になります。

私は蝦夷と西洋の雑種らしき個体を持っていますが、総苞が開くのを確認したら早めに摘み取り・紙袋に入れ草焼きバーナーで焼却し、むやみに雑種を殖やさぬよう・しかし雑種としての見本として枯れないように小さな鉢で維持しています。
 他には在来種(山里と剣先と蝦夷を複数、櫛葉と奥薄黄を2個体ずつ、関西と吉備白を1個体ずつ)を育てています。
Posted by hyakuryou at 2015年04月07日 12:12
hyakuryou様、ご訪問ありがとうございます。

 ご質問の件ですが、この後の観察で別の植物でした。タンポポだと、すでにこの時点で本葉の縁にすこしギザギザが出はじめるようです。
Posted by しまねこ at 2015年04月07日 18:10
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