
今回は染色体数を数えやすい細胞がすぐ見つかりました。8-ヒドロキシキノリン処理によって染色体が凝縮していて細胞の中に良い具合に散っています。(400倍)画面中央の細胞内に染色体が斑点状に見えています。
1000倍に拡大して、本数を数えるとだいたい40本でした。タンポポの基本の染色体数8本の5倍ですから、5倍体(2n=5x=40)ということです。
シロバナタンポポの染色体数を調べる今回の研究の目的は、松江市湖北地域で見つけたケイリンシロタンポポ(T.coreanum)に似たタンポポの正体を調べるためです。
湖北の薦津町に咲いていたシロバナタンポポは花の総苞外片の部分が通常のシロバナより長く、先端の角状突起も大型で、これは九州北部で見つかったケイリンシロタンポポの特徴です。

(2010年4月6日 松江市薦津町)
この薦津のシロバナがケイリンシロタンポポかどうかを証明するには、染色体数がケイリンシロタンポポと同じ4倍体の32本かどうかが決め手になります。
今回調べたのは、同じ湖北地区でも薦津町から西に5kmほど離れた秋鹿町のシロバナです。ここのシロバナも春に観察した時には比較的総苞外片が長いタイプの花を咲かせていました。

(2010年4月6日:秋鹿小学校北側)

(秋鹿町産シロバナの染色体:1000倍視野で撮影したものをトリミング)
今回、写真に撮ったのと同じ秋鹿小学校北側のタンポポの根を採集して、その染色体数を調べました。その結果、5倍体のシロバナタンポポだということがわかりました。
また比較のため総苞外片の長さが普通のタイプも調べました。松江市南部の大庭町から採集したシロバナも染色体数40本の5倍体でした。

(大庭町シロバナタンポポの染色体:1000倍で撮影したものをトリミング)
続いて今後も、他の松江市各地域のシロバナタンポポの染色体数を調べる予定です。また、春にもう一度薦津町などでケイリンシロタンポポと似た特徴を持つタンポポの根を採集して再度染色体数を調べたいと思います。