葉の組織を顕微鏡で観察して、葉の細胞質が赤紫色の色素で満たされていることがわかったのですが、その意味と着色のメカニズムが新たな疑問として残りました。
ネットでいろいろと資料をあさったところ、
日本植物生理学会-みんなの広場-、質問コーナーの「紅葉現象」に関する回答に参考になる記述を見つけました。
http://www.jspp.org/17hiroba/question/index.html
以下はその抜粋
太陽光の下で春から光合成を続けてきた葉の葉緑体も、秋になって気温が低下すると光合成活性が低下し始めます。太陽光は光合成に絶対に必要ですが、秋になってCO2固定反応を含めた光合成機能が低下すると、同じ太陽光の照度でも葉にとって光エネルギー過剰の(光が強すぎる)状態になります。過剰の光エネルギーは葉緑体で活性酸素を生ずるように作用し、これが葉緑体の機能をさらに低下させ、クロロフィールを分解する様になります。アントシアニンは葉の光合成をできるだけ長い期間継続させるため、太陽光の一部を吸収し、葉緑体が受け取る光エネルギーの量を過剰にならないようにしていると考えられます。
なるほど。
葉っぱが赤くなるのは、葉緑体に当たる太陽の光を押さえるためだったのですね。
そして赤い色素アントシアニンは低温条件と光によって、合成されるそうです。だから、北公園で観察したカンサイタンポポの葉も、表側だけが紫色で、裏側は緑色のままでした。また表側でも、落ち葉の下になって太陽光が当たっていない部分は紫色でなく、緑色でした。

ロゼットの上に乗っていた落ち葉(右)を取り除いたところ。
光の当たっていなかった部分はアントシアニンが作られず、緑色のまま。
何だか、人間の日焼けと似ていますね。
タンポポの紅葉現象を整理すると
気温が低下すると葉にブドウ糖が増える。→ アントシアニンの原料とブドウ糖が結びつき、赤色のアントシアニンが作られる。→ アントシアニンが太陽光をさえぎる → 葉緑体での活性酸素発生をおさえ、葉緑体の機能低下を防止する。
進化の過程でこのようなメカニズムを獲得したのだろうけれども、本当に良くできていると感心しました。