では、どうしてこの「紅葉現象」が生じるのでしょうか?
まずはネットで検索してみましたた「タンポポ、葉緑体、紫」などのキーワードで探してみても、タンポポのロゼットが赤紫に変色する事についての記述は見つけられませんでした。
ただ、一般的な樹木の紅葉現象についての説明では、
「低温になると葉柄(葉の根元)部分で幹から葉へ栄養分を送る管の部分が塞がれる。それにより葉の内部でアントシアニンという赤い色素が合成されて赤くなる」
「イチョウ等では葉緑体が死滅して緑の色が無くなり、元々葉の中にあったカロチノイド色素(黄色)の色が見えるようになる」
という説明がされていました。
これをタンポポにあてはめると
○仮説1
低温にさらされると、タンポポの葉の内部で赤い色素(アントシアニン)が合成される
○仮説2
元々タンポポの葉には赤い色素があるのだが、低温で葉緑体が死滅して、赤く見える。
これを検証するため、松江市北公園で赤く変色したカンサイタンポポの葉を採集してきました。表面は赤紫に変色しているのですが、裏返してみると、青々としています。
紫色の部分を顕微鏡で観察してみました。
肉眼で紫色に見えている部分も、拡大してみると緑色の中に紫色が点在していました。(100倍)
さらに強拡大(400倍)では、細胞単位で紫色に着色しています。
緑色の細胞だけでなく、紫色の細胞の内部にもちゃんと葉緑体が残っています。細胞質がきれいな赤紫色に着色しているだけでした。
緑色の細胞内部は葉緑素の色だけでしたから、仮説2「タンポポの葉には元々赤い色素がある」は否定されます。
すると仮説1が有力になるのですが、
この細胞質を赤く染めているのは何だろう?
どういう機序で赤い色が生じるのか?
葉の表面が赤くなると越冬しやすくなるのか?
謎はさらに深まるばかりです(^^;;
この続きはタンポポの紅葉現象の研究「その2」へ
大阪の内港近くの屋上という環境下です。