2006年05月06日

セイヨウタンポポの特殊性

 セイヨウタンポポが都市化の進んだ荒地で繁殖できる理由について、新潟大学教育学部の森田龍芳教授は以下のような点を挙げている。



(1)在来種が夏季に葉を枯らし休眠することにより、他の植物との競争をさけるのに対し、セイヨウタンポポは夏季も葉を展開し生産をつづける。


(2)花期は主として春であるが、夏から秋にかけても開花し種子生産をつづける。

(3)同じ大きさの株を比較すると、セイヨウタンポポは頭花数が多く、種子数も2倍以上である(1株の最多種子数は在来種の約7000個に対し、セイヨウタンポポでは15000個

(4)セイヨウタンポポの痩果は軽く、風散布力は在来種よりはるかに大きい。

(5)在来種の種子は夏の高温により発芽が抑制され、おもに10月ごろ発芽するが、セイヨウタンポポは広い温度域で発芽するので、夏にも実生がみられる(Ogawa 1978)

(6)セイヨウタンポポは種子繁殖への切りかえが早く、ロゼットの直径が2cm程度の小さな株でも花をつける。そのため、発芽1年以内に繁殖に参加できる。繁殖にいたるまで2〜3年かかる在来種とは対照的である。


雑草の自然史、北海道大学図書刊行会。第6章世界に分布を広げた盗賊種・森田竜義・新潟大学教育学部 (p192-193)より引用
posted by しまねこ at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究ノート
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