2020年05月03日

低地に自生したクシバタンポポ

 タンポポ調査もそろそろ今年は終盤ですが、意外な場所に自生するクシバタンポポがありました。
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 クシバタンポポは標高の高い地域で良く観察され、西日本タンポポ調査のデータによると、最も多いのは標高400-500mの地域です。標高100m以下でも10例程度確認されています。
クシバ標高グラフ.png
(西日本タンポポ調査2015報告書 P45より引用)

 私自身の経験でも標高80程度の場所で二箇所ほど見つけたことがありますが、山間の谷あいにあって気温が低そうだったので、あまり気にしていませんでしたが、今回発見したのは標高20mくらいで街中の民家駐車場です。ちょっと驚きです。
 クシバタンポポはおそらくエゾタンポポ の一種だと考えられます。エゾタンポポ は関東以北にみられますが、西日本には分布していません。これは推定ですが、氷河期の頃には日本全域に分布していたエゾタンポポは氷河期が終わった後は寒冷な関東以北に残り、西日本の山岳地帯に取り残されたのがクシバタンポポなのではないかと考えています。

 低地性のカントウタンポポ、カンサイタンポポなどの2倍体は温量指数100以上の温暖な地域に分布します。反対にエゾタンポポ、クシバタンポポ等は温量指数100以下の寒冷な地域に分布しています。

sirobana_map_onryo100.jpg

 上の図はシロバナタンポポの分布している地域と温量指数100のラインを示したものですが、シロバナタンポポはこのラインの外側になる温量指数100以下の温暖な地域に分布します。クシバタンポポはそれとは逆にこのラインの内側音量指数100以下の寒冷な地域に(原則的には)分布します。ですから、今回のような温量指数120近い平野部の街中というのはとても珍しい状況です。

posted by しまねこ at 14:23| Comment(0) | TrackBack(0) | クシバタンポポ
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