ところが、タンポポ調査で報告のあるカンサイタンポポ、カントウタンポポの白花についてはカロチノイド分解酵素では説明がつきません。突発的に分解酵素が発現するというのは、考えにくいのです。
最近読んだ情報で、ある種の除草剤、シキミ酸合成阻害作用のあるものにはカロチノイド合成系を阻害して、花色が白くなるというのがありました。
福岡大学教育学部 福原達人氏の植物形態学より引用。
フラボノイド色素は、芳香族アミノ酸のフェニルアラニン(Phe)から合成される。植物はフェニルアラニンをシキミ酸経路で合成するが、動物はシキミ酸経路を持たず、食物から摂取している。このことを利用して、シキミ酸経路を阻害することで動物に影響を与えずに植物を枯らす除草剤がある。このタイプの除草剤がかかると、葉や茎が枯れる前に色素合成が阻害されて花弁や花粉の色に影響が出ることがある。Webで見つけた記事「除草剤による白化現象?」
ナガミヒナゲシ(ケシ科)の花。花弁は朱色で花粉は黄色。
ナガミヒナゲシ開花前に除草剤を散布された個体。色素合成が阻害されて花弁の色がほとんどなくなり、花粉は白色となる。
黄花のタンポポが稀に白くなる原因が除草剤によるものだとしたら、タンポポ調査でもう少し頻繁にセイヨウタンポポの白花が報告されても良さそうなものだが?
実験をしてみる必要があるかも