2019年05月06日

外来種タンポポの外片がそり返っているわけ

 外来種と在来種タンポポを見分ける重要なポイントは、花の外側のガクのように見える部分(総苞外片)が、密着しているか、外側に開いているかというところです。セイヨウタンポポなどの外来種は下に向かってそり返っていますし、カンサイタンポポなどの在来種では上向きに密着しています。

sakuradote10032027.jpg
 外来種のこの部分が何故そり返っているのか?について研究した論文を「九州大学学術情報リポジトリ」で見つけました。著者は九州大学理学部生物学科生態科学研究室所属の留学生のようです。
Recurved phyllaries of Taraxacum function as a floral defense : experimental evidence and its implication on the evolutionary history of Taraxacum
呉, 馥宇

「花の防衛機能としてのタンポポ属の反転した総苞:実験的証拠とタンポポ属の進化の歴史へ関わり」とでも訳すのでしょうか

Abstract(要旨)をざっくりと読んでみたところ、「ナメクジに食べられないため」?ねずみ返しのようにナメクジが這い登って花を食べてしまわないための機能だと?
 

在来種タンポポがの総苞外片が反り返っていない理由は
「これらの知見は、ヨーロッパのタンポポが、花喰いナメクジとの拮抗的共進化のもとでの防御メカニズムとして反り返った総苞片を獲得したが、この共進化は東アジアでは起こらなかったことを示唆している。」
だそうです。ふーむ。
 「日本のタンポポは夜には花を閉じていることで食害から逃れているが、外来種のナメクジにはそれは効果がない」とも書かれていました。
 日本産ナメクジはあまりタンポポを食害しなかったのでしょうか?

 この論文で使用されていた在来種はカンサイタンポポだったので、総苞外片の角状突起はあまり大きくないわけですが、在来種タンポポの角状突起も食害への防衛機能を果たしているのでしょうか?
usugi1504070030.jpg

 在来種タンポポの角状突起はトウカイタンポポのように2mmを超える大型のものもありますし、カンサイタンポポのようにほとんど目立たないものもあります。また同じ種類であっても春先では突起が小さくて、季節が進むと突起が大きくなるものもあったりします。

 この辺りの違いをナメクジの出現地域や季節と比較してみると面白い結果が出るのかもしれません。
posted by しまねこ at 18:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究ノート
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