2019年03月12日

カロチノイド分解酵素の阻害に関連する論文

 シロバナタンポポの花弁が白いのは黄色のカロチノイド色素がカロチノイド分解酵素(CCD)の働きにより分解されて白い花弁となっている。という仮説を当ブログでは採用しています。

 もともとこの仕組みについてはキクの白色品種と黄色品種の研究結果から推定しているのですが、キクの白色品種に存在するカロチノイド分解酵素の働きを阻害させたところ、黄色い花弁となったという研究論文を見つけました。

 シロバナタンポポの薄黄色変種のキバナシロタンポポができるメカニズムを考えるヒントになりそうです。

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キクに存在するカロテノイド分解酵素ホモログのクローニングと機能解析

*大宮 あけみ, 岸本 早苗, 間 竜太郎, 能岡 智, キクに存在するカロテノイド分解酵素ホモログのクローニングと機能解析, 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集, 2007, 2007 巻, 第48回日本植物生理学会年会講演要旨集, p. 068, 公開日 2007/12/13, https://doi.org/10.14841/jspp.2007.0.068.0, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspp/2007/0/2007_0_068/_article/-char/ja, 抄録: 白色花弁のキクから突然変異により黄色花弁が生じることがある。しかし、その逆の現象は起こらない。このことは、白色花弁においてカロテノイドの蓄積に抑制的に働いている因子が突然変異により欠失し、黄色花弁に変わるという可能性が考えられる。その因子を明らかにすることを目的に、キクの白色花弁と黄色花弁において差次的に発現している遺伝子をサブトラクティブハイブリダイゼーション法によりスクリーニングした結果、白色花弁で発現が高い遺伝子としてカロテノイド分解酵素ホモログ遺伝子(CmCCD4a)を得た。CmCCD4aのRNAiコンストラクトを白花キク品種に導入した結果、カロテノイドを蓄積し花弁が黄色になった形質転換体が得られた。また、CmCCD4aを黄花キク品種の花弁で過剰発現させると、花弁が白色になった形質転換体が得られた。このことからキクの白色花弁では、カロテノイドを合成しているもののCmCCD4aによって分解されることにより白色が形成されるものと考えられた。デジェネレートプライマーを用いてキクに存在するカロテノイド分解酵素遺伝子をスクリーニングし、CmCCD4aのほかに3タイプのホモログを得た(CmCCD4b、CmNCED3a、CmNCED3b)。これらのホモログは花弁における発現がきわめて低かった。したがって、カロテノイド分解酵素ホモログの中で花弁の白色の形成に関与しているのはCmCCD4aのみであると考えられた。
posted by しまねこ at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究ノート
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