3010年03月21日

たんぽぽラボについて

このブログと日本たんぽぽラボのページは、島根県東部を中心としたタンポポの生態について個人的に研究したものを日々記録しています。

 あなたは、外来(帰化)種のタンポポと、在来種(純国産)のタンポポを見分けられますか?

 帰化種タンポポは花の下側のガクの部分(総苞外片)が反りかえりますが、在来種では上向きで反りかえりません。

しかし、最近の研究では外来種タンポポと思われていたものの大部分は在来種と外来種の雑種で、総苞の形も帰化種と在来種の中間型が多く見られことがわかってきました。
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2024年04月13日

白い花のカンサイタンポポ

松江市北公園のカンサイタンポポTaraxacum japonicum)に花弁の白いものがありました。現場では白く見えたのですが、写真に撮ってみると薄黄色ですね。
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隣の通常個体と並べてみると白く見えます。
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4月17日にまた色の薄い個体を見つけてカラーチャートと一緒に撮影しています。このチャートは大阪府立大学中村氏の考案したもので、557段階の黄色色調が印刷されています。

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(この先は専門的な話になるので興味のない方はスルー推奨)

シロバナタンポポ(T.albidum)の花弁が白い理由として、シロバナタンポポだけが黄色色素を分解する酵素(CCD:カロチノイド開裂酵素)を持っているという仮説を考えていたのですが、カンサイタンポポの白花をみると、この仮説を再検討する必要がありそうです。


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2024年04月11日

緋紅蒲公英2024

中国白花に続いて、ピンク色の花をつける緋紅蒲公英Taraxacum pseudoroseum)が開花しました。

こちらは開花初日からすでにピンク色が出ています。
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総苞の外片は日本在来種のように密着せず、ほぼ水平に外側に開いています。
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開花2日目は外側がピンク、内側は花粉の黄色のバイカラーとなります。

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2024年03月27日

中国白花タンポポ開花

 昨年から栽培している中国白花タンポポが開花しました。

 白花といっても僅かにピンク色が入っていて白花蒲公英Taraxacum albifros)ではなくて、粉緑蒲公英(T.dealbatuM)ではないかと考えています。
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開花初日の花弁はほぼ純白ですが、夕方頃には少しピンクがかった色になります
開花1日目(右)と比べると2日目(左)ではピンク色が強くなっています。
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伯太調査2024 伯太調査2024

 久しぶりの好天。安来市伯太町のキビシロタンポポを中心にフィールド調査。

 まず一気に鳥取県境近くの草野六呂坂まで南下、キビシロは見つからず、大型の六アイタンポポが大量に開花。
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続いて少し下の下十年畑集落ではキビシロは見つからず、シロバナのみ

下小竹では廃校付近で数株キビシロの開花を確認したが、かなり黄色が強い感じ。カラーチャートで撮影しておく。
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トウカイタンポポは葉が展開しているものの、開花していない。

日次では大量に開花、ここでも小竹ほどではないものの色が濃い目。
母里では川沿いの水門近くで2株開花を確認。

清水寺付近でも3株ほど
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切川町では確認できず
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2024年03月08日

安来市伯太町キビシロタンポポ2024

安来市伯太町日次(ひなみ)地区のキビシロタンポポを観察に出かけました。枯れ草の中に一輪だけ咲いていました。
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シロバナタンポポより中央部がわずかに黄色です。
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花弁が薄黄色で、総苞外片はほぼ直立して密着。先端の角状突起は目立ちません。
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2024年02月25日

出雲国庁公園シロバナタンポポ2024

松江市大草町出雲国庁跡公園のシロバナタンポポを観察に出かけました。

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総苞外片はあまり反転していませんが、少し外側に離れ、先端の角状突起が長い
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2024年02月17日

松江城山公園2024年2月

松江城山公園の西側、椿谷公園入り口付近にシロバナタンポポが咲いていました。
比較的日当たりの良い斜面でした。IMG_8969.jpeg

すでに種ができている株も
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2023年06月15日

初夏に中国白花タンポポ開花

 梅雨に入り、しばらく放置していたタンポポ農園を観察していると、中国白花タンポポにいつの間にかツボミができていました。
え?今6月だよ
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中国白花(粉緑蒲公英 Taraxacum dealbatum)の中国植物誌を確認すると花期はspring to early summer(春から初夏)となっていました。それほど異常ではないのかも



春に種まきした緋紅と中国白花の若葉も少しづつ大きくなってきました。
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6月17日開花しました。外来種タンポポ以外が6月に開花するのはあまりないと思います。
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しかし、これは中国産だから外来種ではありますね。
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ところが、開花したのは初日だけで翌日からは閉じたままで開花せず。春の開花時には2−3日は開花していたのですが、やはり気温の問題でしょうか。
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開花した6月17日は晴れ、最低気温は18.4度、最高気温は30.4度でした。
開花しなかった6/18日は曇りのち晴れ、最低気温19.6度、最高気温29.4度と
連日30度近い気温だったせいでしょうか

何が開花のキーになったのか?
気象データを見ると、5月の10日ごろに最低気温が10度を下回っていました。この一時的な低温が花芽形成の引き金になったのかもしれません。
5月の気温変化.png

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2023年04月19日

定点観測カンサイタンポポ2023

 松江市北公園のカンサイタンポポの定点観測です。

 どんよりと曇った日でしたが、カンサイタンポポが一面に咲いていました。
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前夜風が強かったので、綿帽子は吹き飛ばされてしまって、わずかに残った一本
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最後に公園隅に咲いているタンポポ
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この株は2005年に観測を始めた時からずっとこの場所で咲いています。少なくとも18年間ここで咲き続けています。
カンサイタンポポの寿命についてはこちらにも書きました。
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2023年04月16日

中国白花タンポポの芽2023

 中国白花タンポポの種を鉢に蒔いておいたものから芽らしいものが出ていました。

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(2023/4/16)

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2023年04月12日

白い花のワタゲハナグルマ

 ワタゲツルハナグルマによく似た白い花を見かけました。

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てっきり白花のガザニアかと思ったのですが、タンポポ型の葉で、裏が白いところがワタゲツルハナグルマにそっくりです。
 ネットで検索してみるとアークトチス(ハゴロモギク)という名の園芸種のようです。南アフリカ原産で学名Arctotis

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こちらはワタゲツルハナグルマ(別名:アークトテカ)Arctotheca prostrata,つる(匍匐枝)を伸ばしてどんどん増殖します。つるのないワタゲハナグルマ A. calendula と混同されているようです。


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2023年04月08日

中国白花タンポポの正体を探る

 現在育てている「中国白花タンポポ 初恋」について、種類を同定するために色々調べています。

一般的に白花蒲公英として知られているTaraxacum leucaanthumとは色々と特徴が違っています。

まずは現物の各部の特徴について、計測していきます。

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頭花の直径は3cmぐらい、花弁の色は白色、わずかにピンク。
舌状花の背面は紫色の縞があります。柱頭は黄色で花粉あり

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総苞の形は鐘型。外総苞片はやや開いています。

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緋紅蒲公英開花2023

 昨年ネットで購入した緋紅蒲公英(fai hon pu gong ying)Taraxacum pseudoroseum が開花しました!

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(2023/4/8 10:15)
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2023年04月05日

タンポポの葉の形いろいろ

 雨模様をついて島根県安来市南部の伯太川流域の調査です。トウカイタンポポが開花しているかと期待して行ったのですが、開花前の蕾を1株見つけたにとどまりました。toukai230405.jpg
トウカイタンポポの特徴的な総苞先端の角状突起はまだ小さめです。

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ほとんどの株はまだロゼット状に葉を広げている状態です。満開になるのは半月後くらいでしょうか。トウカイタンポポの別名「ヒロハタンポポ」の特徴がよくわかります。
 葉の全体の形は倒状披針形(先端が太く根元が細くなっている)で全縁(切れ込みがない)か浅裂(浅く切れ込む)

他の種類のタンポポと葉の形や色を比較してみましょう


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2023年04月03日

中国白花タンポポの花弁を顕微鏡で見る

 中国白花タンポポ(粉緑蒲公英)の花弁は開花直後にはほぼ純白ですが、日を追ってピンクがかった色になってきました。
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 花弁の色がどうなっているのか調べてみることにしました。
一枚の花弁全体が薄いピンク色です。全長は12mmぐらい。

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posted by しまねこ at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国白花タンポポ

2023年04月02日

松江市南部調査2023

 桜が咲き始めた天気の良い週末にドライブがてらタンポポ調査へ。

松江市学園町北公園
カンサイタンポポが10株ぐらい開花していました。3月15日の調査では小さな蕾しかなかったのに、あっという間です。
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続いて松江市西忌部町千本貯水池
 ヤマザトタンポポが数株開花しています。こちらも3月中旬にはロゼット状の葉だけだったはず。
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松江市玉湯町山陰本線湯町踏切
 シロバナタンポポが多数の中にキバナシロタンポポ(シロバナタンポポの黄色変異)がありました
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松江市玉湯町
玉湯から忌部へ抜ける山道の途中にヤマザトタンポポ
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2023年04月01日

白花蒲公英について

白花蒲公英(baifua pu gong ying) 

分類について色々と以前と変わっているので、整理するためのメモ

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*著作権フリーの画像を入手できないため、標本画像や他サイトの写真を参考にスケッチしたもの(c)日本たんぽぽラボ

中国から中央アジアあたりに分布する白い花のタンポポで中国では白花蒲公英
ロシア名はОдуванчик белоцветковый(アドゥバンチク ベロツベコヴィ?:白花タンポポ)とこちらもそのまんまですね。

日本のシロバナタンポポ(Taraxacum albidum)とは別の種。

古い文献ではTaraxacum leucantum(タラクサクム レウカントム)という学名が当てられています。ラテン語の「leucos:白」からの命名でしょうか。最近の文献での学名はT.albifros(アルビフロス:白い花)となっています。

中国植物誌では白花蒲公英の仲間3種を白花蒲公英组 Sect. Leucantha(白花蒲公英節)としています。

白花蒲公英(T.albiflos) 葉の切れ込みがない、冠毛が淡紅色か汚れた白色、花は白色
粉緑蒲公英(T.dealbatum) 葉の切れ込みがある、冠毛は白色、角状突起がない。花は白または淡黄色
红角蒲公英(T.luridum)葉の切れ込みがある、冠毛は汚れた白色、角状突起がある。花は白または淡黄色

かなり端折ってます。詳細な記述は文末の原典を参照ください。

これより下は専門的な内容になるので、興味のある方はどうぞ
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posted by しまねこ at 09:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究ノート

2023年03月25日

粉緑蒲公英(fen lu pu gong ying)

粉緑蒲公英
Taraxacum dealbatum
白花蒲公英(bai fua pu gong ying)を含む白花蒲公英組(Sect Luecanta)に属する中国の白い花をもつタンポポ3種のひとつ。

学名のdealbatumは「漂白された」の意。

 中国名は粉绿蒲公英(fen lu pu gong ying)、直訳すると「ピンクグリーンタンポポ」となります。

 ロシア語ではОдуванчик белеющий(アドバンチェク ベリヨーシキ)「美白されたタンポポ」別名の「アクサイタンポポ」は産地のアクサイ地方の意でしょうか

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★注:このページの画像はいずれも「中国白花タンポポ」として流通しているもの。粉緑蒲公英の可能性はありますが、確実ではありません。

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2023年03月23日

中国白花タンポポ 開花

 開花初日はあいにくの雨模様だったのですが、2日目はよく晴れたおかげで綺麗に開花しました。
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開花初日の花弁は純白だったのが、今日見ると何となくピンクがかって見えます。


お馴染みの中村式カラーチャートで色を比較(上:中国白花、下:オクウスギ)
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花の種類を調べるために、総苞の形を詳細に調べます。続きを読む
posted by しまねこ at 20:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国白花タンポポ